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紅と月白


side 冬夜

どうにか思い出そうと歩きながら考えていました。
そして、やっと寝ぼけていた頭が冴えてきたのか…少し思い出してきた。


―――――…

昨日は、椿姫から執行部の活動の話で、電話があったんです。


『《――…ってコトになってるんだけど、》』

『はい、わかりました。なら、明日 集めてやりましょうか。』

『《あぁ、そうしよう。じゃ、また明日。》』

『えぇ、おやすみなさい』


それで電話を切って、携帯のアラームをセットして、それから寝たんです。
そして、今日(といっていいのかわかりませんけど)
オレは、いつも通り 起きて制服に着替えて嵐詩と一緒に家を出たんですよ…確か。


嵐詩は、シャツの上に赤いジャージ(所謂、芋ジャ)を着て、下にはレギンスに短パンまで履いて、
オレは、Yシャツの上にカーディガンを着て、ハイソックス……あ、勿論 スカートの中にはスパッツです
まぁ、そんな格好でした。



『サミー』

『寒いですねぇ』


なんて、たわいもないことを話して、椿姫と那都の待っているところへ行きました。


椿姫は、制服にカーディガン、タイツ(何も面白味もない格好ですね)で
那都は、フリルのついたシャツにカーディガン、ミニスカートにニーハイを履いていました。


『おっはよー』

『おはよう』

『はよ』

『おはようございます』



そんないつも通りの朝

いつも通りの通学路



だったんですが、いつも使っていた道が、工事中になっていたんです。だから、仕方なく迂回して違う道を使うことになり……しかも、遠回りだから走っていたんです。


そのせいだった……ってわけじゃないんだろうけど



『にゃっ!?』


那都の突然の声。続けて椿姫の


『なっ!引っ張るな!』


という怒鳴り声にもとれる声。

オレと嵐詩の目の前で、2人が穴に落ちたんだと認識し、助けなくては…と思ったその瞬間。


『え、』

『は、』


オレと嵐詩の足元が急に消えて、オレたちは宙に身を投げ出され、重力に逆らうこともなく落ちていったんです。








『―――…と、まぁそんな感じだったと思うんですが』

『あぁーーー…そうだそうだ。思い出した。けどよ、何 あの穴。で、2人は?そいでココドコヨ』


嵐詩に話せば、一気にまくし立てるように言ったと思うと だんだん意気消沈し、ハァァァァと深いため息を吐いた。
オレも苦笑いして、嵐詩と目を合わせた。



『どうもこうも……情報が少なすぎて、なんとも』

『だよなー』



オレの言葉に頷き しゃがみこんだ嵐詩の目にはもう生気がない。大丈夫かな…



『……のど渇いた』

『は?……まぁ、確かにずっと歩きっぱなしでしたしね』


そういわれてみれば渇いたかも…と言えば、嵐詩は よしっ と立ち上がった。



『どうする気ですか?』

『水探すべ。』

『マジですか…』



うわ、と嫌そうな顔をすれば、嵐詩はオレの腕を引っ張る。


『このまま死んだらどーすんだよ。』

『あー…ハイハイ。』



仕方ない。
ついて行くしかないか……こうなったら、どうとでもなれ。


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