僕駆け | ナノ

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――目が覚めたら、そこ一面 大空だった。




ほんっっとうにくっそ青い空。そして白い雲。あのさっき体験したものは夢だったのか?と一瞬考えてしまう程に。

周りの景色は、全く知らない場所だし、こんな場所近所にないから夢じゃないんだろう。



身体を起こす。
なんだか――こう、視界が可笑しい。体感というか。
いつもより視線が低いわ、制服は大きいわ、手も足も短いっつーか小さい。



『……え、俺、ちっちゃくなってね?』

『なってますよー、チビっこサイズです。』



横を見れば、見慣れた金髪とオッドアイの美少女。かっこ笑い。
いつもと違うのは、あれだな。サイズ。十年くらいは若返っている見た目だ。




『ウワー、人形カト思ッター』

『ソンナホメナイデクダサイー』



棒読みの言い合い。
お互いの姿を確認して、辺りは人っこ1人いない、土と枯れ草ばかり。




『どーゆーコト?コレは。』

『知らないよ。オレに聞かれても』

『…そりゃそーだ。』



地べたにぺったんと座る俺たちは、もうこれはシュールだ。変だ。
そして、俺たちの横に転がっている2本の刀。


まるで、俺たちの物だと言ってるようなそれは、俺を使え、と言ってるようで、この意味わからない今を恐怖に落とす。




『刀ってさ、それで身ィ守れってこと?』

『かもしれませんね』

『なんだよーそれー…』



冬夜は、相も変わらず表情が読めない。昔っからそうだ。
この姿は、たぶん6歳とか、小学校初めくらいの頃だと思う。
丁度、俺たちが会ったくらいか…。
小さくなった身体とは正反対に急激に伸びた髪が邪魔くさい。




『……大丈夫?』

『ドコがよ』

『…泣いてるから…』




冬夜は、俺をあやすようによしよしと頭を撫でる。……嘘だろ、俺が泣くって……うわ、もう…ダメだ……



ボロボロと零れ始めた涙は止められなかった。




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