今日も明日も明後日も | ナノ

1/7




あの出来事は

忘れられない 今に 繋がっている


“あの時”を

後悔しないように



――――――…

side:トウヤ


少し歩いてみたけど、人は居ない。困った話だなあ…



『…何かあれば、こっちもリアクションできるんだけど。』


近くにあったイス…ソファかな
それに座り、オレは フゥと息を吐いた。
だけど、それといった反応もなく。

ボーっとしていれば、すぐにカタッという音がした。



『……?』


音のした方を見て、ジィ…とそこを見つめれば、瓦礫の奥から少しだけ白い毛が見えた。



『…どちら様ですか?』


フワリと微笑めば、ひょこっと顔を出した。



それは、白い狐だった。



『え、狐…?』

「…シルミィ…」


うわ、喋った。しかも、可愛らしい声で
トコトコ近付いてくる白い狐。



『え…と…シルミィ?』

「ん…私、シルミィ」



どうしよう…この子可愛らしい。……ってアレ、もしやこの子…



パキッ


嫌な音がする。
バッと振り返れば、そこには作中でみたトランプらしきものがいました。



『ッ!!』


咄嗟に離れようと下がれば



「見ツケタァァ…」


とそのトランプは言う。
そしてすぐに シルミィがオレの前に来た……と思ったら、シルミィはオレの後ろに居て、え……この子はどちら様?



「トランプ如きが、僕らの主に手を出そうとするなんて…」


シルミィとは また別の白い狐(少しシルミィより大きい)が、パフンと尻尾を動かす。




「100万年早いですよ。」



そして、その子は周りにふわふわ水の玉を浮かして、その水の玉で攻撃した。



『うわ……』


トランプは、水鉄砲のようなもので攻撃されたからか、穴だらけになってしまう。



「シルミィ!」

「ん、」

『え……え!ちょっ!』



オレは、シルミィに担がれて、物凄いスピードで、トランプの居たところから逃げた。



―――――…


『…あ、あの…これは一体…』

「よくご無事で…シノー…」

「…アイウォ…違、う……」

「あ、そうだった」



オレは1人置いてきぼり。
アイウォという方…いや、狐とシルミィさんは、お互い顔を見合わせている。



『あのー…』

「あ、失礼。僕はアイウォ。こっちはシルミィ。僕らはチェインです。」



……あ、やっぱりなぁ
なんとなく察してはいたけれど…チェインってことは、オレは本当にアヴィスにいて……あれ?じゃあ、トリップしたってことですか?うわーー



「大、丈夫?」

『あ、はい、なんとか。』


シルミィは、オレの事を見上げている。
あ、シルミィは目が緑で、アイウォは目が青系なんですよねぇ…



「貴女のお名前は?」

『…トウヤです、トウヤ。』


アイウォに聞かれて答えてしまった。つい…



「トウヤですか、いやーお会いできて嬉しいです。と、ゆーわけで」


「「契約して/下さい!」」



……デスヨネー。チェインにアヴィスに…こうなっちゃうとそーですよねぇ…



『展開…急すぎて、流石についていけないんですけど…』


と苦笑いすると、アイウォがチョコンと前に座り、シルミィも横に座った。




「とりあえず、契約して下されば…」

『えー…』

「私たち…2人で1つ……の、チェイン…なの」

「えぇ、トウヤさんが契約してくれれば、僕らはそれだけでいいんです。ここから出られますし…」



―――悪い話じゃないでしょう?




とアイウォは笑う
いや、狐だから、実際に笑ってるってわけじゃないんですけど。
2人で1つなチェインなんてあるんですねぇ…



色々と実感しますね
そして、ここから出るための唯一の手段…仕方ないですよね



オレは、二匹の狐のチェインを見下ろして、フゥ…と息を吐いた。

← |


back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -