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「それで?それでどうなるんですか」
少女は わくわくした様子で 身を乗り出して聞いた
『それから?』
彼女は 楽しげに笑います
『とても不思議なトコロへ落ちたんです』
彼女は 言いました
――…そう、大きな大きな玩具箱に
―――――――
――――
―――
side.トウヤ
目を開けてみたら、そこには…んー……なんといえばいいのか…そう、子供のオモチャが散らばっている、みたいな――そんな暗い闇。
…どこかで見たようなこの場所は、そう…アレだ
“アヴィス”
漫画で見たその光景。
オレは、ただただ呆然と、そこに立ち尽くしていた。
『……なんで…ココに…』
いや…本当にここが、そうと決まったわけじゃないですけど…なんでかわかりませんが、大変な事になってしまっている事は理解した。
うーん……アリス的な展開ですねぇ
シロウサギに、ウサギ穴ときて、ここですか。
苦笑いするしかない。
出口を探す前に、先に落ちていった3人を探さないと…(ここがアヴィスなら出口は無いか)
怪我でもしていたらどうしよう…少なからず、責任は感じる
『ナツーツバキーアラシー』
軽く叫び、呼んでみますが、返事はなし。ただただ自分の声が反響するだけ。
んー…1人で踊らされているみたいで、物凄く嫌だ。
『……なんだかなァ…』
途方に暮れるっていうのは、こういうことか…と初めて理解した気がする。
近くにあったがれきに座り、深くため息をついた。
オレとしても…もう少し焦りたいトコだけど、それはねぇ…ここまでくると どうにもならないっていうか…
あ゛ーー…面倒臭いなぁ…もう。
―――――…
sideアラシ
『い゛ってぇ!!』
トウヤと話してたみたいな事になった。
どんどん落ちて、色んな物にぶつかりつつ、ベッドとかがクッションになって、助かったけど……ったくよ…痛ぇ…。
腰をさすり、立ち上がれば、暗い世界。夜とか、そーゆう暗さじゃない。
“闇”
そんな感じの世界。まぁ、色んな物が落ちてるわけだけど…それが見えてるってことは暗いわけじゃねぇーんだろうな…。
『ったく……なんなんだよ…』
先に落ちてった2人も、後から来てるハズのトウヤもいない。
…しかも……完全にこんなん異次元だろ
『馬鹿猫ぉ〜暴力女ぁ〜……と、トウヤー』
……返事はナシっと。
これで反応ねぇなら、いない……か、気絶してるかだな。
全く
面倒なコトになったな…
ツバキ辺りは、動き回んねーだろーけど……探しに行きゃ会えんだろ、多分。
トウヤ居ねぇーかなー…アイツいれば、この状況どうにかなりそーなんだけど
――――――…
side.ツバキ
…何で、あたしはソファーで横になってるんだ?
いや…問題はそれだけじゃない。
此処は、何処だ。
なんで、落ちてた?
てゆーか、他の奴らは…?
…考え出したらキリがないな
『…あぁ、夢か。』
なんて言っても、ツッコむ奴がいない。困る。
体を起こして、ソファーに座り、足を組む。まー…同じトコに落ちた(ハズな)んだ。その内、誰かが此処に来るだろう。
さて、待つか。
あ、クッキーだ。匂いも平気そうだし、いいか。
『面倒だな…』
―――――…
side.ナツ
えー…と、うん…ココはドコ?
なんかさ…?ほら別世界?みたいな?つか、ドコ?
『心細いのだけれど…』
あ、思いの外、声震えてる。
正直、足も手も震えてる。全く、知らないところで1人。
怖い。
後先考えないで動くな バカって言われるの、今 わかった…うん
もしかして…あの三人は穴に入らなかったのか、なぁ…
落ちてきてないってことは、そうなんだろうなぁーアァァァアァァァァ
『どうしよう!!』
叫んでみても、うちの声が響くだけ
よけいに寂しい
側にあった猫のぬいぐるみを抱きしめて…あ、めっちゃもふもふしてる、コレ気持ちいい
もふって顔を埋めて、体育座り
『ツバキ……トウヤ……アラシ……』
う゛ぅーー…
あ、そういえば、あの白ウサギはどこに行ったんだろ
キョロキョロしても、ウサギは見えない。
何処かに行ったのかなぁ…
1人より、ウサギ一匹でもいてくれたほうが、心強いし…
うん!
探しに行こッ!!
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