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目も眩むような
そんな世界で
私たちは 生きている。
―――――…
駐車場に一台のリムジンが止まり、スーツ姿の4人の男と1人の女性が降りた。
「おい、何処へ連れて行く気だ。」
三蔵は、不機嫌なのを隠すことも無く、前を歩いている観世音菩薩に言った。
三蔵の後ろを歩いている悟空、八戒、悟浄もそれに同感らしい。
「いいから、黙ってついて来い。」
ニヤリと笑う観世音菩薩は、そう言うとエレベーターに乗り込む。
仕方無く4人もそれに乗り込んだ。観世音菩薩は、一番奥ではなく、ボタンの前で横の壁に背を預けている。
――…珍しいですね…自らボタンの前に居るなんて。
八戒が、多少の違和感を感じつつ、エレベーターが動き出す。
沈黙。
「そろそろさー、ドコに行くか教えてくれてもいーんでないの?」
悟浄が、沈黙を破り 観世音菩薩に話しかける。だが、観世音菩薩はクツクツ笑う。
「“なんでも屋”だ。腕利きのな。」
「「は?」」
「え?」
「…なんでも屋?」
三蔵と悟浄、八戒が呆然としていて、悟空はコテンと首を傾けた。
そして 丁度良く エレベーターが着く。
チーンという音を立てて、扉が開いた。
そこは、青空をバックに草木の生える庭と 黒と白を基調とした木造の和風家屋があり、そして、その庭で 洗濯物を干しているオレンジ色の髪の少女が居た。
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