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―――――――…
紫のドレスを着た椿姫と正装した三蔵は、飲み物を片手に壁に背を預けて、黒とピンクのドレスを着た那都と正装している悟空が食べているのを見ていた。
『食いっぷりがすごいな、お前のトコも。』
「お前のトコもな。」
ただでさえ、小食の椿姫は もうお腹一杯だと言わんばかりの顔で、三蔵は何食わぬ顔でそっぽを向く。
『……挨拶回りはもういいのか。』
「俺はな。お前は?」
『あたしも充分した。』
冬夜に言われたペアは、椿姫・悟空、那都・三蔵だったが、別に近くにいればいいだろう。と思っている椿姫は目の前で見せ物になっている2人を見る。
対した食いっぷりだ。
―――――…
『これ美味しい!!』
「これも美味ぇ!!」
那都と悟空は、本来なんのためにここに来ているのか、すっかり忘れている様子だ。
バクバクと食べ物も食べ、幸せそうに笑っている。まぁ、それもいいのかもしれない。
――――――…
「…なーんか、このまま何も無く終わりそうじゃねぇ?」
『そうだと良いですねぇ』
悟浄がプハーッと紫煙を吐いて、冬夜はそれにフワリと笑って空を見上げた。
『あぁ、星がキレイに見えるなんて、珍しい。』
『……新月らしいぞ、今日。』
『月は見えないんですか、残念だなぁ…』
嵐詩も煙草を吸いながら、ボソリと呟けば、冬夜が楽しげに笑う。
「月が、お好きなんですか?」
『えぇ、まぁ…好きと言えば好きです…かね』
『「どっちだよ」』
「貴方たち意外と息合ってますね」
『「どこがだ/よ」』
嵐詩は、悟浄とハモったことに嫌そうに顔を歪めて、それに気づいた悟浄は不愉快そうだ。
冬夜と八戒は、そんな2人を見てクスクス微笑んだ。
『(お前らもな)』
と思った嵐詩だが、口には出さず心にしまっておいた。
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