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しばらくそのまま花火を見ていた4人だったが、その沈黙を破るように冬夜が口を開く。
『……じゃあ、そろそろいいですか?』
嵐詩はそれを無言で肯定し、那都は名残惜しそうに空を見て、椿姫は
『あぁ。』
と一言呟いた。
『……なんか、家出するっていきなりだったから実感わかなかったけど、本当にするんだね』
那都は寂しそうに笑い、椿姫の手を握った。椿姫はそのまま黙り、嵐詩はなにも言わずにくしゃりと頭を撫で、冬夜は微笑む。
『怖い、ですか?』
『え?ううん!!椿姫と、3人と一緒ならヘーキ!』
首を大きくふって『ねっ!』と笑う那都をみて、3人は一瞬呆気にとられる。
『冬夜、もういい。行こう。』
椿姫はギュッと力を込めて那都の手を握り締め、冬夜を見る。
『はい。』
『で、ここで大丈夫なのかよ?』
『問題ありませんよ。』
嵐詩が一応辺りを見渡しながら聞くと、冬夜は手の中から杖を出して左手に握るといつものように微笑んだ。
『念のため、手握ってましょうか。離れ離れになったら危ないですからね。』
椿姫と那都、那都と嵐詩、それから嵐詩と冬夜で手を繋いだ。
冬夜は、左手に握っている杖をトンッと4人の真ん中に置く。すると、地面に魔法陣が出てきて輝きだした。
『……無事に行けるといいなぁ』
『『『…え…?』』』
その言葉を最後に4人の姿は白い繭のようなものに包まれて消えた。
丁度、空には最後の目玉の花火があがり、月だけがそれを看ていた。
前奏曲(それは旅のプレリュード)To Be Next...
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