孤独な華。 | ナノ

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ガチャリ と先ほどとはまた違い、乱暴に扉が開く。


わざわざ閉めて夜襲を仕掛けるとは……礼儀正しいんだかなんなんだか。



『大丈夫かーって、聞くまでもねぇか。』


入ってきた嵐詩は、灰色の長い髪を邪魔そうにかきあげた。



『えぇ、大丈夫です。…貴女の所にも?』

『あぁ。多分、他の奴のトコもだろうな。』



ベッドに座っていたオレに対して、嵐詩は扉のすぐそばの壁に寄りかかり そこから話しかけてくる。

床に転がっている妖怪だったモノを無視して。



『でしょうねぇ。』


『なぁ、こいつら何なの?』

『紅孩児様がどうとか……西へ行くのを邪魔しに来たみたいですよ。』


オレが、軽く説明をすれば 嵐詩は興味なさげに


『フーン… こーがいじサマって何者?』


と聞いてくる。
興味あるんだかないんだか…



『牛魔王のご子息ですね。正妻 羅刹女との1人息子で、牛魔王が討伐された際に、彼も西域・吠登城に封印されていたハズです。』


『ハー…』


気の抜けた声だなぁ
オレは苦笑いしたら


『とにかく、西へ行けっていう事か。』


と嵐詩が軽くまとめた。
わかってるのって言いたくなる…でも、ま…


『そうですね』


オレは そう言ってベッドから立ち上がった。着替えもし終わっていたので、転がっているそれを避けて、廊下へ。


その時、ドンっとグラグラ揺れる。


『これは…』

『なんか暴れてんのかね…』

『かもねぇ……あらら、珍しく寝起き良いじゃありませんか、椿姫。』

『うるさい客が来たからな』

『オメーントコもか。』



椿姫は 至極面倒臭さそうにこちらへ歩いて来ていた。
そういえば、さっき銃声もしていたような気が…
嵐詩は、そんな椿姫を見て察し、オレはくるっと向きを変えて、そういえば…と那都の部屋の側を見る。



『…那都大丈夫ですよねぇ…音もなにもしていないような』

『死んでたら、それだけのタマだったってハナシだろー』



とか言いつつ、3人で那都の部屋の前へ。
オレが一応ノックする。


『……』



無反応。


『……あれ?』


オレが苦笑いすれば、すぐに両脇の2人が、扉を蹴破った。
ちょっと…これ弁償ですよねーもー…


部屋の中には、未だにぐっすり寝ている那都とクナイによって壁に張り付けられて身動きの取れない妖怪が居た。



『…うわ』
『ハァ』
『あららー…』



オレたちが各々反応してすぐにオレたちに向かってクナイが飛んでくる。



『『『!?』』』



嵐詩は、それを刀で叩き落とし、オレは鋼糸でそれを跳ね返し、椿姫はスッと身を捻り避けた。



『あっぶねーな…教育間違ってんじゃねーか?』

『知るか。』

『育児放棄ですか?それは いけませんよ。』



なんて、ふざけてみたりして
ベッドで まだ寝ている那都。
でも、確かに彼女がクナイをオレたちに向かって投げた。
……恐らく、寝ぼけてか、本能的か…。でも、正確って所がすごいですねぇ…




「た、たす……たすけ」



助けを求めてきた妖怪を椿姫が無言で撃った。一発、



―――ガゥン



『うにゃっ!!』



変な声をあげて、ベッドの上で飛び起きた那都に苦笑い。
嵐詩はそんな那都に


『よくまーこんな中で寝てられたな、お前は。』


と一言。
那都は、ベッドの上で座り、オレ達を見て驚いている。
そりゃまぁそうですよねぇ



『な、なんで?え、てか、その人はどちら様?』

『おはようございますー』



あわあわとしだした那都に軽く挨拶をして、着替えましょうね、とそばにあった黒コートを渡せば、那都はそれを受け取り



『お、おはよう?…何事?』


と言って、首を傾げた。



『お客様だよ、おキャク様。寝ぼけて退治してたみてーだけど?』



と嵐詩は、クイッとはりつけられたそれを指差した。トドメは椿姫でしたけどね。

那都は、とりあえず

『成る程。』

と呟いた。



『―――そういえば…夢の中で的当てしてたような』



…それでオレたちまで狙われたんですか

椿姫は フゥと息を吐き、嵐詩は ハッと鼻で笑い、オレはハハハ と苦笑した。

すると、廊下から聞き慣れてきた話し声と足音が聞こえる。



『あ…そういえば、彼らもいましたっけ。』

『お前って、さりげひでぇよな。』



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