孤独な華。 | ナノ

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side嵐詩


「一緒に旅をするのはいいと思うんですが、移動手段どうします?」


モノクルの奴が、冬夜の言葉の後に続くように、そう言った。困ったように眉尻を下げて



「ジープは、4人乗りですから。ギリギリあと2人は乗れたとしても、あと4人は無茶ですよ。」



とジープを見た。
これが さっきの白竜なんだから、世界は広い。こんな生き物もいんだなー



『…そういえば、オレたち移動手段ないんですよね…』


んー…と考え込む冬夜。



『あーじゃーほら!チャリとか!!』

『『却下。』』



那都の馬鹿案を俺と冬夜で一蹴。だせーよ、ありえねぇよ。西まで何年かける気だ。



『じゃ、バイク?』

『どこにバイクがあんだよ』

『いっそ車!』

『だぁから、どこに車があんだ。』



これだから馬鹿は…。
溜め息混じりに頭をかいたら、冬夜は





『……2人…捨ててきますか。』



いっそ、と呟いた。目の光が消えてる。
那都とチビとモコナが、ガタガタ震え始める。わかるぞー、俺はわかる。うん。



『……冬夜』

『え?冗談ですよー(微笑)切り捨てるなんて、オレがするわけないじゃないですかー』


俺が窘めるように呼べば、ヘニャリと笑い始めた。
コイツはこう言ってるが、絶対に半分くらいは本気だった。明らかに誰かを切り捨ててしまおうと考えていた。言わないけど。そして、自分は行く気だった。



「あ!そういえばね!モコナこんなんもらった!!観ちゃんから。」


とモコナはどっから出したんだか、1つの飴を取り出した。怪しい。
とくにあの神がくれただなんて怪しすぎる。



『飴…ですか?』

「うん!これを白竜にあげろって!」



とモコナは勝手に白竜のトコまで行き、白竜は白竜に戻るとそれを戸惑いなく「キュー」と食べやがった。
白竜…お前……漢だな。



『『え゛』』『あ』「「「え」」」


俺たちが、驚きの声をあげると、それにびっくりした白竜が飲み込む。
ごくり、と


モノクルの奴たちが
「白竜!?」
と心配そうに声を上げてすぐに白竜は光に包まれた

まぶしい…と思ったのも一瞬ですぐに白竜はジープの姿でそこにいた。



「あれ?」

「……白竜?」

「なんか、おまえ…」

「…?」

『大きくなってます…よね?』

『なってるね』

『なってんな。』



そう、パッと見ただけで、大きく、広くなっている白竜の姿。
……つまり、アレは白竜を大きくするためだったわけか…なんでもアリか…。神ってやつは。



「ま、まぁ…これで何はともあれ、全員乗れますね。」


モノクルの奴の笑顔もひきつり気味だ。 俺もこれは…なんつか、突飛もないことばかりでなんとも言えない。



『そうですね。じゃあ…席決めます?』


冬夜の言葉に、皆そうだな、と同意する。せっかく広くなったんだしな。



『…運転、誰すんの?』

『え、それは……沙さん?』

「なんで俺みんの?」

『あ…いや、なんか、立ち位置的に』「どーゆう意味だよ」



パシりって言いたいのか。いやぁ、しつれーだなー(棒読み)


「運転手は僕ですよ」


微笑んだモノクルの奴が言えば、冬夜はわざとらしくほっとしたように笑って


『なら安心ですね』


と言った
意外と順応性たけぇーよな…



「俺をなんだと思ってんのよ。冬夜チャン」


『じゃ、運転手は決まりだね!』

『残りはどーすんのよ…』

「ジャンケン!ジャンケンで勝ったやつから決めてく!!」


猿の言葉にまー別に嫌がる理由もないかってな感じで、同意して、椿姫がボソリと呟くのはこのあとすぐだ。





ジープどうします?

(なんか馴染んでんな、お前)
(そうですか?)
(楽しそうね)
(そう?)
(……)




End...?


131103

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