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モコナの移動魔法で、辿り着いたのは 蓮が綺麗に咲いている池のある部屋のような屋敷のような場所。
上空に魔法陣が現れ、そこにモコナがまず現れた。
そして、モコナの口が大きく開かれて、そこから平然とした様子で 椿姫と妖怪姿のままの冬夜が出てきて、その池の淵に着地する。
それから、嵐詩と那都も落ちてきたが、場所が悪かった。
バシャーン!
『『冷てぇッ!/冷たっ!』』豪快な音を出しながら、那都たちは池に落ちて、2人は全身が水に浸かり 塗れてしまった。
それだけならよかった。
当たり前だが、高さのあるところから、2人が水へ落ちたのだ、水飛沫が上がる
ジャキッ
濡れてギャーギャー騒いでいた那都と嵐詩に向けて、銃が突き付けられる
『『……あ。』』
勿論、突きつけているのは椿姫
2人のせいで巻き込まれて濡れた椿姫が、青筋を浮かべて 今にも人を殺しそうな目で二人を見下ろしている。
『…どっちから…逝きたい?』これは真剣だ。
真剣と書いてマジと読むやつだ。声がワントーン低くなった辺り、もう那都と嵐詩じゃどうにもならない。
発砲秒読み段階に入ってる今、那都たちの少し後に役目を終えて冬夜の手の平に落ちたモコナと、自分だけ水飛沫から瞬時に風を操り身を守った冬夜が それを暖かい目で見守っている。
助ける気は毛頭ないらしい。モコナは合掌までしている。
『(……コノヤロ!)』
『(…し、死ぬかもしんない!!)』
と那都たちが考えた瞬間、因みに五秒も経っていない。
ガゥン ガゥン ガゥン ガゥン
遠慮なんて微塵も感じさせない(実際無いが)連射
それを必死に避ける2人。
それを微笑ましいと見守る悪魔。
『っぶねぇー!!マジでかすった!』
『死ぬかと思った!死ぬかと思った!!』弾が切れて、椿姫も気が済んだのか舌打ちをして連射が止むと、那都たちは大袈裟に声をあげる。
「スゴイねー!大道芸みたい!」
『あははは、
大道芸人さんに失礼ですよ?』
『『おい』』冬夜の笑顔で失礼な発言に、嵐詩と椿姫が反応する。
ハモってしまったことに2人は嫌そうに顔をしかめて2人でそっぽ向く。
そこまで同じ行動を取ったことにモコナや冬夜は笑うが、椿姫たちは気づいていない。
「…お前らも 相っ変わらずだなァ」
呑気に話していたのをいつから見ていたのか、クツクツ笑う女性(恐らく)が立っていた。
『えぇ…っと…誰?』
「さぁ…知らない人?」
『ありゃ、変態だろ、絶対』
『…ここまでくるとむしろ清々しいな』
『でも、いるんですねぇ…露出狂って。』
4人とモコナの前には、上半身スケスケな服を着た 美人なお姉さん。
各々の感想を呆然と言うが、それを華麗に受け流した彼女は
「よく来たな、待ってたぜ」
と口角をあげた。
冬夜が もしかして、と首を傾げ
『侑子さんに頼んで、オレ達をここに呼んだ方ですか?』
と聞くが、それはすぐに頭を振った彼女によって否定される。
「んな訳ねぇだろ。俺じゃない奴だ。……だが、侑子とは知り合いだからな、安心しろ。」
なにを安心したらいいのだろうか。一同不安である。
『で、つまりアンタは誰なんだ』
「俺様は、慈愛と慈悲の象徴 観世音菩薩様だ。」
ドーンッと効果音を出しながら、仁王立ちをして偉そうにふんぞり返っている。
『『『『「……は?/え?/はい?」』』』』全員 驚きである
『…って、かんぜおんぼさつってなに?』『『『「「……」」』』』他の人にあわせて反応したのか、那都がキョトンと椿姫を見る。
そんな那都を一同
マジか、である。
椿姫は頭を抱えたが、仕方がないと説明する。
『…あのな…。神様だ、簡単に言うと』
『え、神様!!ほんと!?』1人遅れて驚き、テンションの上がっているが、冬夜が話を戻す。
『それで、そんな神様が 一体どうしたんですか?』
「手前らの事は、侑子から聞いていた。……ま、とりあえず 体拭けよ」
と観世音菩薩が ニヤッと笑い、どこからともなく出した三枚のタオルを濡れている三人に投げた。
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