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4人の周りの白い繭のようなものが消え、4人の身体は宙に放り出された。
『あ、』『げ』『わっ!』『っ!』
ドサッと地面に落ちた4人は、泥と雨にまみれ汚れてしまった。
『…冬夜』
『アハハ、スミマセン。でも、事前に言ったじゃないですか。“無事に行けるといいなぁ”って、ちゃんと。』
椿姫が、ジロッと冷たい視線を冬夜に向け、それに対して冬夜苦笑いで受け流した。
着いた先は、雨の降る高層ビルに挟まれた黒い和風の家屋の庭のようだ。
那都は、地面に座り込んだまま
『腰打ったあああああ!!』
と叫び、嵐詩は眉間に皺をよせながら
『いてぇ』
と呟き、お尻を抑えながら立ち上がる。
冬夜は、
『汚れちゃいましたねぇ』
と服をはらい、椿姫は、無言で辺りを見回した。
そして一言
『アンタ、誰』
椿姫の凜とした声に
いつからそこに立っていたのか、黒いドレスに身を包んだ女性が笑う。
「いらっしゃい」
不審そうに見る三人をよそにその人を見つけた冬夜は安心したように微笑み、頭を下げた。
『よかった、無事について……お久しぶりです、侑子さん』
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