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ある日、モコちゃんの口から可愛らしく飾られたショートケーキ(ワンホール)が出てきた

衝撃的だった。



すぐに侑子さんから連絡がきて、アッチでは 今日が8月5日で
四月一日くんが、ケーキを作ってくれてプレゼントとしてモコちゃんを通じて送ってきてくれたんだって




――つまり、うちの誕生日…らしい




『誕生日、なの?』

『『らしいな』』


嵐詩ちゃんと椿姫ちゃんが丸かぶりな返事をして、冬夜ちゃんが人数分のお皿と包丁を持ってきた。



『すっげー、プロ顔負けだな。このケーキ』

『あいつ、本当に主婦だな…』


嵐詩ちゃんと椿姫ちゃんが思わず感嘆の声をあげて、八戒や悟浄も頷く。



「確かに、これは凄いですよ」

「ワタヌキって何者」


「なぁなぁ、これ食っていいの?」

「まだだよ!蝋燭たてて、みんなでハッピーバースデー歌わないとっ!」


悟空が今にも食べそうなところでモコナがぴょこぴょこ飛び跳ねながらそれを止めた。



『あぁ、そうですねぇ。蝋燭も送ってもらいましたし、折角ですから』

「別にいいだろ」


冬夜ちゃんが蝋燭を取り出して、三蔵は面倒臭そうに眉間に皺が増えた。







『蝋燭をどうするの?』




『「「「え?」」」』『『「「は?」」』』



『え?』



『あぁー…那都は知らないんでしたっけ』

「知らないんですか。なら、尚更やらなくちゃですねぇ」



八戒と冬夜ちゃんたちが、ニコリと微笑み合うと2人はケーキに蝋燭を立て始めた。



『ねぇ、なんでローソクたてるの?』

『理由は知らん。ケーキに年齢の数だけ蝋燭をたてて、火をつけてそれを誕生日の奴が消すんだ。』

『ちゃんと願いながら吹き消せよ』



椿姫ちゃんのざっくりとした説明とそれに付け加えるように嵐詩ちゃんはあまり興味は無さそうに教えてくれた




『願いごと?』

『なんでもいいんですよ。一発で消せると叶うとか、なんとか』



オレもよくわかりませんが、と冬夜ちゃんが笑う
あれ……蝋燭が…1、2、3…5本?



『え、うち5歳?』


「あはは、本当に14本も刺すとケーキが穴だらけになっちゃいますから、10の位は大きな蝋燭一本分になるんですよ」

『なるほど!』

「じゃあ、俺なら……9本?」

『そうそう(微笑)』



初めて知ることが沢山でなんだか楽しくなってきた。



「じゃ、火つけるぞー」



悟浄が自前のライターで火を順につけていく。わああ…綺麗



『け、消すの?』

『待った、待った。』

『電気消しますよー』



どきどきしながら、消そうとしたら嵐詩ちゃんに止められて、冬夜ちゃんがパチン、と電気を消した。


蝋燭の灯りだけ



『わああ…』


「よーし、じゃ、せーーのっ」



その綺麗さに感動していたら、モコナがテーブルの上で指揮をするみたいに両手を動かした。



『「ハッピバースディートゥーユー♪ハッピバースディートゥーユー♪ハッピバースディーディア那都〜…ハッピバースディートゥーユー♪」』



モコナと冬夜ちゃんと八戒、悟空に悟浄にあの嵐詩ちゃんや椿姫ちゃんに三蔵までが歌っていて、なんか嬉しいけど恥ずかしい。



『ほら、さっさと消せ』


『あ、うん!』


椿姫ちゃんに言われてフゥーと火を消した。


『うわっ!!真っ暗!!』

『今、電気つけますから』



と冬夜ちゃんの声がして、すぐに電気がついた。おぉう眩しい。



『それじゃあ、切り分けますね』



やんわりと微笑んだ冬夜は、手馴れた手付きでケーキを切り分けてみんなに配る




『那都は、どうぞ』


と渡されたのは
HAPPY BIRTHDAY 那都ちゃんと書かれたチョコレートとモコナの形をした砂糖菓子


……これも四月一日くんの手作りなのかな。てゆうか、どうやって作るの、これ



『ありがとう!』



と返したら、冬夜はいえいえ とまた微笑んだ。
じゃ、早速一口



『わっ!美味しい!!』

「本当ですねぇ、美味しいです。」



うちが言ったら、八戒もすぐに反応してくれて、冬夜ちゃんたちも一口食べる。



「あー、悪いけど俺はいいわ。那都食べな」

『え!いいの?』

「甘いのダメなんだよ」

『やったー!』

『あー、じゃあ俺のケーキは悟空にやるよ』

「え!!いいのかっ!」

『ん、俺、クリームとかダメなんだよ』



悟浄と嵐詩の甘いものが不得意組が、うちと悟空に分けてくれて、ちょっと得した気分



『2人して甘いの駄目なんですねぇ…』

「美味しいのに勿体無い」

「ふん、こいつらに食べさせること自体勿体無いだろ」

『まぁ、嫌いな奴が食べるより、好きな奴が食べたほうがいいだろうしな』

「四月一日には、ちゃんとみんなの感想伝えとくね!」



冬夜ちゃんと八戒が食べながら残念そうに言い、三蔵と椿姫ちゃんが一蹴して、モコナは美味しそうに食べながら ビシッと敬礼した。



『なにが勿体無いだよ』

「苦手なもんは仕方ねぇだろ」

嵐詩ちゃんと悟浄は、椅子に寄りかかってケーキを食べられないかわりにかはわかんないけど、煙草を加えた。
そしたら、冬夜ちゃんが嵐詩ちゃんに一口あげて、嵐詩ちゃんは美味いんだろうけど甘いと顔をしかめて…冬夜ちゃんは愉快そうに笑う。


なんだか楽しいなぁって思って椿姫ちゃんたちも楽しそうで誕生日が良い日だってことがわかった


記憶が無くなる前もそうだったのかな……





『那都、お酒飲めないからしょげてます?』

『しょ、しょげてないよΣ(○д○;)』



ベッドに1人座って、みんなが麻雀とかカードして騒いでるのを見てたら、冬夜ちゃんが横に座る。お酒飲んでるからかなぁ、ちょっと頬が赤い



『まぁ誕生日ですし、飲みたかったらいいと思いますよ?』

『いらない!お酒は大人になってから!』


って言ったら、冬夜ちゃんはあははとまた笑った。



『蝋燭消すとき、なにをお願いしたんですか?』


冬夜ちゃんに言うかどうか迷ったけど、冬夜ちゃんならいっかって思った



『……楽しいことをみんなでたくさんやれますようにって』


そう話したら冬夜ちゃんはまた微笑んでくれた


『きっと叶いますね。蝋燭ちゃんと消えましたから』

『うん!』




蝋燭に願いを
(でも、わざわざ願うほどのことでもなかったですかね)
(……はっΣ(・□・;)好きなだけケーキ食べたいとか!?)
(叶わねぇよ、馬鹿)
(いつから聞いてたの!!椿姫ちゃんっ!!)
(丸聞こえだっての)
(嵐詩ちゃんたちまで!?)


20130920
那都の誕生日記念でしたが、かなり遅れてしまいましたね。おめでとう、那都。




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