花宵 | ナノ






俺には珍しく早起きをした。
隣の珠美はまだ眠っている。
時計を見ると、まだアラームがなる少し前だった。



もう少し寝てもいいけど
珠美の寝顔見てるのも、いいもんだな。

こいつの寝顔、かわいすぎるんだよ。
もはや犯罪だな。

俺は珠美の柔らかいほっぺたをぷにぷにしたり、さらさらな髪の毛を撫でたりしていた。
暇だからな。
すると、珠美はくすぐったいのか、もぞもぞと動いて、俺の手から逃れようとしている。



…寝てても可愛いやつだな。



余計にいたずらしたくなる…
と思ったちょうどその時。

目覚まし時計の ビピピピピ…という電子音が鳴り響いた。

もうそんな時間か。

アラームのこの音
桔梗ちゃんの小煩い話といい勝負だぜ。
(つまりどっちもうるさい)

ポンと時計のてっぺんにあるボタンを押して、アラームを止め
珠美を起こす。



「珠美、朝だぞ」



気持ちよさそうに眠っている珠美を起こすのに、少し罪悪感を感じながらも
仕事があるから起こさなければならない。
(俺は仕事しないけど。)



「珠美」



体を揺すっても、なかなか起きない。
疲れてんのか?教師って、そんなに大変な仕事なのか…



「起きないなら、キスしちゃいますよー」



いつだってキスはするけどな。
でも珠美は反応しない。


しばらく頑張ったが、まったく起きる様子がない。

こんなこと、珍しい。

まあ、しょうがないだろ、疲れてるみたいだし。
桔梗ちゃんもわかってくれるだろ。

朝早くに目が覚めてしまったからか
なんだか眠くなった俺は、そのまま珠美の隣に倒れこんで、寝てしまった。







「葵理事!起きてください!葵理事ったら!」



「んー?」



珠美が俺を猛烈に揺すっている。
…なんだ?もう時間か?



「ふあ〜…おはよ、珠美」



そして、おはようのキス。
大事だろ、これは。



「葵理事!こんなことしてる暇ないですよ!もう完璧遅刻です!」



涙目で叫ぶ珠美。
一人であたふたしている。



「どうしてアラームに気がつかなかったんだろう…」



「あ。俺が止めたかもしれない」



「何やってるんですか!」



「だって珠美起きなかったし…」



「もうっ!葵理事のバカっ!」






結局二人して遅刻して
桔梗に怒られたことは言うまでもない。








葵理事の口調って
どんなんだっけ?(´ω`)
10.03.06




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