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朝、起きるといつもより薄暗くどんよりした雰囲気に、もしかしてと窓の外を見る。


「はぁ」


溜息が言葉となって出てしまうのは、この雨のせいだ。
灰色に濁った空に、大粒の雨。
今日が休みだったら良かったのに。
なんて週休制の学生の願いなど届くはずもなく、今日も1日が始まる。

憂鬱な気分でベッドから腰を上げると、目についたのは床に無造作に置かれたスクールバッグと教科書やノート。

それを見て更に憂鬱になった。


「あ〜…宿題やんの忘れたー……」


宿題ちゃんとやれよって快斗君からメール来てたのに。


「そうだ!!メール返してないっ!」


慌てて携帯を取り、昨日既読だけを付けて寝てしまったメールに、宿題をやり忘れたと返事をした。


そのまま準備する気が起きず、少し余った時間を無駄にボーッとして過ごす。


それはポンッとどこか抜けた音によって気付かされた。


「快斗君から返事きた〜っ!」


メールを開き、内容を見て私の心の中に太陽が差した。

単純だな、私。

大した内容ではない。


『おはよ!アホだな(笑)朝のHR始まる前に一緒にやっちゃおうぜ!』


もう一回見た内容に、ふふふと笑ってしまう。

好きな人からのメールというだけでこんなにも幸せな気持ちになってしまう私は、やっぱり単純だ。


浮き足立った自分を落ち着かせようと、ニヤニヤしながらベッドにダイブした。

もー雨なんてどうでもいいやー。


快斗君がいたら雨なんて……
と朝から何を思ってるんだ自分と恥ずかしくなり目を閉じた。







………やばいっ!!
今何時?!


少し目を閉じただけなのに、さっき起きた時から20分も経っている。

朝の準備の時間は必要最低限しか取っていない私にとって、20分のロスはとても大きい。


急いで制服に着替え、階段をダンダンと下品に降りると、お弁当と朝ごはんが用意されていた。


「あらおはよう」


呑気なお母さんにおはよ!と短く返し、とりあえず朝の支度。
残念ながら朝ごはんを食べる時間が無い為、毎日欠かさず見ている占いだけを見た。


『最下位は……残念この誕生月の方!!好きな人に恥ずかしい所を見られてしまうかも?!という事ですね〜』

「えーっ!!一昨日も最下位だったじゃーん!でも別にこんなの信じてないし!」

「信じてないなら登校時間削ってまで見ないでしょ。早く行きなさい」


はーいと適当に返事をした時に目に入った、テーブルの上にある母のおやつのクリームパン。


「これ朝ごはんに貰うわ!行ってきます!」


それを口に咥え、傘をさして家を出た。
母が何か叫んでいたが聞こえないフリ。



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