01
朝、起きるといつもより薄暗くどんよりした雰囲気に、もしかしてと窓の外を見る。
「はぁ」
溜息が言葉となって出てしまうのは、この雨のせいだ。
灰色に濁った空に、大粒の雨。
今日が休みだったら良かったのに。
なんて週休制の学生の願いなど届くはずもなく、今日も1日が始まる。
憂鬱な気分でベッドから腰を上げると、目についたのは床に無造作に置かれたスクールバッグと教科書やノート。
それを見て更に憂鬱になった。
「あ〜…宿題やんの忘れたー……」
宿題ちゃんとやれよって快斗君からメール来てたのに。
「そうだ!!メール返してないっ!」
慌てて携帯を取り、昨日既読だけを付けて寝てしまったメールに、宿題をやり忘れたと返事をした。
そのまま準備する気が起きず、少し余った時間を無駄にボーッとして過ごす。
それはポンッとどこか抜けた音によって気付かされた。
「快斗君から返事きた〜っ!」
メールを開き、内容を見て私の心の中に太陽が差した。
単純だな、私。
大した内容ではない。
『おはよ!アホだな(笑)朝のHR始まる前に一緒にやっちゃおうぜ!』
もう一回見た内容に、ふふふと笑ってしまう。
好きな人からのメールというだけでこんなにも幸せな気持ちになってしまう私は、やっぱり単純だ。
浮き足立った自分を落ち着かせようと、ニヤニヤしながらベッドにダイブした。
もー雨なんてどうでもいいやー。
快斗君がいたら雨なんて……
と朝から何を思ってるんだ自分と恥ずかしくなり目を閉じた。
………やばいっ!!
今何時?!
少し目を閉じただけなのに、さっき起きた時から20分も経っている。
朝の準備の時間は必要最低限しか取っていない私にとって、20分のロスはとても大きい。
急いで制服に着替え、階段をダンダンと下品に降りると、お弁当と朝ごはんが用意されていた。
「あらおはよう」
呑気なお母さんにおはよ!と短く返し、とりあえず朝の支度。
残念ながら朝ごはんを食べる時間が無い為、毎日欠かさず見ている占いだけを見た。
『最下位は……残念この誕生月の方!!好きな人に恥ずかしい所を見られてしまうかも?!という事ですね〜』
「えーっ!!一昨日も最下位だったじゃーん!でも別にこんなの信じてないし!」
「信じてないなら登校時間削ってまで見ないでしょ。早く行きなさい」
はーいと適当に返事をした時に目に入った、テーブルの上にある母のおやつのクリームパン。
「これ朝ごはんに貰うわ!行ってきます!」
それを口に咥え、傘をさして家を出た。
母が何か叫んでいたが聞こえないフリ。
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