黒子のバスケ | ナノ

気持ちぐらい察してよ


「…今日のわがまま3回分だ」
「構いません」
主将である大坪と睨み合う緑間、普段この時間に着ているはずのジャージは鞄の中、隣にいる高尾は…いない。

「…勝手にしろ」
「緑間、お前マジで轢く」
「あぁ、今車検出してるから轢く以外で」
そんな先輩のやりとりを尻目にすたすたと体育館を出ていく緑間、その手が握り締める携帯にはただ一言、"風邪引いちった"と。



――――ピーンポーン。
「ん、誰かな…?」
「結局来たのかよ…全くツンデレなエース様だなっ…」
名前がぱたぱたと階段を降りれば玄関には緑間の姿、"緑間くん!?"と驚く名前の横を過ぎ去り高尾の部屋に向かって行く緑間。

「誰がツンデレなのだよ」
「聞こえてたのかよ…真ちゃん部活は?」
「休んだのだよ」
「俺のために?やだなぁ真ちゃんそーんなに俺のこと好き…」
「元気ならば学校に来い」
そんな冗談を飛ばしてみるものの実際顔は赤く染まり、額には名前が貼ったと思われる冷えピタが貼られている。
"39度あったんだよ、朝…"そう心配そうな顔で言う名前、大坪の話では高尾が心配すぎて学校を休んでつきっきりの看病をしていたそうだ。

「…高尾、腹は減っているか」
「減ってるかはわかんねーけど、なんか食べたい」
「……名前、台所を借りるぞ」
「え、緑間くんが作るの!?」
「俺だって粥ぐらいは作れるのだよ」
そういって部屋を出ていく緑間、そんな緑間を"ツンデレだなー"といって見送る高尾。

「…俺さ、真ちゃんにメール送ったんだよ、風邪引いた…って。そしたらさ、"そうか"ってしか返ってこなくて地味にへこんでたら昼休みに電話くれたんだぜ」
「私が御飯作ってる間に?」
「そう、"ちゃんと寝ているのか"って、俺の彼女かっつーの」
苦笑しながら語る高尾、その脇でぷくーっと頬を膨らます名前。

「高尾くんの彼女はわた…」
「名前だろ、わかってるよ。…でもさ、真ちゃんって絶対心配してるところか見せないんだよねー、なのにさ家まで来ておかゆ作ってくれんだぜ?ほんとツンデレだよ、うちのエース様は。」
「そうだね、緑間くんてほんと優しいよね。」
ふわりと漂うおかゆの香り、その匂いを確認した2人ははにかむように笑いあった。




「…名前」
「ん、なに緑間くん」
帰り際、ふと玄関で名前に声をかけた緑間。
少し照れたように眼鏡を押し上げ小さな声で一言。

「…高尾に、早く治せと…伝えてくれ。」
「…自分で言えばいいじゃない、ツンデレ緑間く…」
「馬鹿なことを言うな、高尾が居ないとチャリアカーが動かないのだよ」
そう言い放ち高尾家をあとにする緑間、早足で出ていったせいか少し段差につまづきそうになるのがドアの隙間から見える。

「…しょうがないなぁ、高尾くんのエース様は」
そう言いながら緑間の伝言を高尾に伝えるために部屋へ戻っていく名前。その横顔は隠し切れない笑みがこぼれていた。

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