黒子のバスケ | ナノ

君はもう夢にまで現われる。


「ねぇ、真ちゃん」
「…なんだ」

休日に家に押しかけてきた名前は、特にすることもなく
俺の部屋でごろごろと寛いでた。
不意に俺を呼んだ名前は雑誌を片手にふてぶてしくこう言った。



してるよゲームしよ」




「…何なのだ、それは」
「お互いに愛してるってって、先に照れたほうが負け」

そのゲームに何の意味があるのか、と言っても
名前はそんなの気にしないのだろう。


「…1回だけだ、付き合ってやる」
「さっすが真ちゃん、やっさしー」

優しくなどない、ただ俺がお前に愛してると言ったら
どういう反応をするのか、それが気になる…だけだ。


「しーんちゃん」
「…何なのだ…っん!?」

唇に柔らかい感触、突然の不意打ちキス。
唇を離した後に名前は、してやったという顔でこう言った。


「真ちゃん、愛してる」





…しばらくの沈黙、口を開いたのは
名前のほうが早かった。


「っふ、真ちゃん顔真っ赤だけど」
「う、うるさい!だいたいこのゲームは言うだけなのでは…」
「そーんなこと誰も言ってないけど?」



これはいささか反則なのではないか…。
誰でも好きな奴にキスされて愛してると言われれば
照れるのは当たり前なのでは…。


「…真ちゃん、なに…ってんの?」
「…何がだ…」
「…好きな奴って…ど…ゆこと…?」


…まさか、今の独り言を声に出して…。



「だから真ちゃん、聞こえてるって…」
「………さっきのはなんでも…ないのだよ」
「わたし的に良くない、ねぇどういうこと?」


こうなってしまった名前のしつこさはどうにもならない。
正直に話すしかない…のだろうな。


「…あぁ、そうだ俺はお前が好きなのだよ」
「…それ本気で言ってる?」
「本気だ、だいたい好きでもないような女を部屋に入れるほど俺は優しくないのだよ」


とうとう言ってしまった、何年も前からも持ち続けたこの想いを。
言わないつもりだった。なのに…


「…嬉しい」
「…何が…なのだよ」
「ん、真ちゃんが私のこと好きって言ってくれて」







「私もね、真ちゃんのこと好き、好きじゃない人にちゅーなんてしないよ」
「な、に…」
「ずっとね、いつちゅーしようか考えてた…って言ったらさすがに気持ち悪いか」


そう言って苦笑する名前。
別に……………

「したって…いい…のだよ」
「っぇ?」
「だからキス、してもいいと言っているのだよ。それとも俺からしてもらいたいのか?」


俺はなんて恥ずかしいことを、と心のなかで後悔していれば
名前は頬を赤く染めてこういった。


「真ちゃんからちゅーしてよ」
「…わがままな彼女だな」



そうして重ねた唇は暖かくて
優しいセカンドキスだった。





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