黒子のバスケ | ナノ

呼吸すらも憂鬱なんて

「花宮くん」
「…なんだよ」

これから部活なんじゃないの――。
と言いかけた口は噤むことにした、機嫌が悪いみたい。

「どうしたの?」
「なんでもねぇよ、バァカ」

最近花宮くんがずっと機嫌悪い、なんだか私を避けてるみたいな。
話しかけても反応薄いし休み時間に遊びに行ったって帰れって言われる。
一応付き合ってるのに、そういう自覚あるのかな…。



「…というわけなんです瀬戸くん」
「俺に聞くなし、つかなんで俺?」

こういう時に頼りになるのはやっぱり瀬戸くん。
花宮くんぐらい頭がいいし、バスケの試合であんなに息ぴったりなんだから。


「んまー、あれじゃね?高校生ならではーみたいなやつ」
「なにそれ、意味分かんないんだけど…」
「…ほーら、噂をすればなんとやら。ま、頑張れー」

そんなことを言っていれば後ろから花宮くんがさっきよりも
機嫌の悪そうな顔でこっちに歩いてくる。
瀬戸くんは手をひらひらしながら反対の方へ行ってしまった。

「てめぇ、なにやってんだよ」
「花宮く…ん」
「ほら行くぞ、バァカ」

私のうでを掴んでぶっきらぼうに歩いて行く花宮くん。
心なしか耳まで真っ赤だった気がしたのは私だけかな。



「なんで健太郎と喋ってたんだよ」

端っこの教室まで連れて行かれて、花宮くんが壁に手をつく。
こうしたら私はもちろん逃げられない…。わけだ。


「だって…花宮くんが…」
「オレが?どーせ最近名前に冷たいとかそんなんだろ」


…なんでわかっちゃうのかなー。
全部お見通し、ってわけか。さすが花宮くん。
もちろん、、


「そうだよ、…悪い?」
「ふはっ、ほんとお前はバカだな」
「バカってなによ!……寂しかったんだよ…?」


せっかく付き合ってるのに一緒に帰れないし喋るのもできない。
でもバスケをしてる花宮くんを見てたらそんなワガママも言えなくて。



「お前さ、なんか勘違いしてねぇか」
「…なにを…?」


そういった花宮くんは、顔を私に近づけて
頬にやさしいキスを一つ落とした。


「…オレだって寂しかったんだよ、バァカ」
「…っえ?」


花宮くんはそれから顔を真っ赤にしてちゃんと喋ってくれた。
こんなに花宮くんって喋るんだってくたい喋った。


「だいたいさ、ちょっと喋れなかっただけで寂しいとかどんだけだよ」
「だって私達一応付き合ってるん…だよ?いっぱい喋りたい…」
「おれは喋るよりこうしてたほうがいいんだけど」


そういった花宮くんは私の唇を自分の唇で…塞いだ。
初めての花宮くんとのキス、人生初めてのキス。


「…っん、はなっ…みやく…んっ…」
「ふはっ、キス1つでそんだけ顔真っ赤とか」
「だって…はじめて…」


息するのが苦しくて、どうすればいいかわかんなくて。
頭がくらくらするし倒れそうになる。
でも…

「嬉しい」
「は?」
「できて嬉しい、はじめてのキス」


今の私に出来る精一杯の笑顔、
ありがとうと嬉しい気持ちを込めて。
そしたら花宮くんが、耳まで真っ赤にして、


「お前その顔反則だ、バァカ」
「…っん、なんで…」
「息するよりお前とキスしてたほうがいい」


そういった花宮くんは、私が立てなくなるまでキスを何度も何度も繰り返して
力が入らないわたしをお姫様抱っこで保健室まで連れて行ってくれて。
午後の授業を全部サボって、ずっと私のそばに居てくれた。


そんな優しくてぶっきらぼうな花宮くんが
大好きなんだ。







「オレだって名前のこと、大好きだバァカ」








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