黒子のバスケ | ナノ

進みたい場所があるから

「由孝〜!」
「こら、学校では先輩で呼べって」
「あ、ごめんごめん」
「敬語も使う、一応後輩だから」

森山と名前は幼なじみ。
幼稚園の頃から仲がいい。
だからああいう風になるのも仕方ない、そうはっきり割り切れたら良いのに。

「笠松」「先輩」
「…なんだよ」

小堀と黄瀬が名前を呼ぶ。

「「顔怖いぞ/ッス」」
「…気にすんな」

大事なその…彼女が、他の男と仲良くしてたら、そりゃぁ…妬く。
しかも相手が幼なじみの森山、離れろとも言えないし仕方ないと言えばそうなる。

「…名前、帰んぞ」
「あ、先輩っ…ばいばい由孝っ」
「あぁ、あと先輩、な?」

ぱたぱたと走ってくる名前、いつもなら少し待ったりするが生憎そんな気分じゃない。


「先輩っ、待って……っ!?」

段差に躓いて転びそうになる名前、慌てて腕を掴む。

「っバカ、あぶねぇだろ」
「ごめんなさいっ……」

しょぼくれる名前の少し前を歩く。
しばらくした後、ブレザーの裾をきゅっと引っ張ってくる。

「先輩、怒って…ますか?」
「…何でだよ」
「その、由孝…先輩と喋ってたから…」

分かってんならすんなよ、確信犯なのかお前は。
そう言いたい気持ちをぐっと抑える、
はずだった。

「…あぁそうだよ、森山と喋ってんの見て妬いた」
「せんぱ……っ!?」

近くにあった薄暗い路地に名前を連れ込む、人通りも少ない。
顔を赤くして、握った手を微かに握り返してくる。
そんなことお構いなしに名前を壁に押し付ける。

「なぁ、お前わざと?」
「っえ、なに、が…」
「俺に妬いて欲しくてわざとやってんのか?」
「ち、ちがっ!……んっ」

反論しようとする名前の唇を塞ぐ。
口腔を犯せば、ブレザーをきゅっと引っ張る。

「っ…お前さ、森山が好きなのか?」
「なに、言って…」
「俺と居るときより楽しそうに笑うし、由孝由孝って…さ」
「た、確かに由孝は好き、だけど…先輩の好きと違くて…っ」

微かに涙に滲ませる名前、ブレザーを引っ張っる手も震えている。
今日の俺は、どうかしてる。

「由孝と居ると落ち着く、けどっ」
「けど?」
「…ドキドキして胸が痛くなるのも先輩だけっ、手繋いだりキスしたいって思うのも、先輩だけっ…でっ」

ボロボロと泣きながら話す名前。
そんな名前にも、優しい言葉なんてかけてやれない。

「へぇ…言うなお前」
「っん…」

触れるだけのキスを落とせば、少し涙が止まる。

「じゃあこのままここで続きすんのと泊まりがけ、どっちか選べ」
「へっ!?」
「お前にあんだけ言われたら、黙ってらんねーよ。朝までかけて俺がお前のことどんだけ愛してるか教えてやるよ。」

我ながらクサい台詞を言ったものだ。
そんな台詞にさえ真面目に答えた名前は。

「先輩の家、行きますっ…」
「…手加減しねぇかんな」

そう言って歩き出した俺の腕にぎゅっとしがみついた名前。
この時、明日の部活は休みだなと確信した俺がいた。

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