「それでねっ」
「…………」
雪が降る帰り道、相合い傘で歩く2人。
今日あった事を話す名前、その隣で頷く水戸部。
「……っ」
「…?」
ふと黙る名前の頭を優しくなでる水戸部。
黙っていても、繋ぐ手が鼓動を早くする。
ぎゅっと強く握り返された手に少しびっくりする名前。
大丈夫、ちゃんと聞いてるよ、わかってる――――。
そう言いたげな優しい瞳が名前を見つめていた。
「楽しくないでしょ、わたしの話…」
「…」
ふるふると首を振る水戸部。
何も喋らない代わりに語りかけるような目。
ぽんぽんっと頭を叩く。
「なにす…っ!?」
言葉を発した刹那に塞がれる唇、傘で隠れる2人を誰も気には止めなかった。
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