「ねー、それ何味?」
「ん、リンゴ味」
何をするわけでもなく、手を繋いだままベッドに腰掛けている2人。
会話も一言二言で途切れる、がお互い不満も無さそうに、
そこに佇んでいた。
「いっつも思うんだけどさ、原くんって前見えてるの?」
「見えてるよ、じゃなかったらバスケ出来ないし」
「へぇ…」
「もちろん、名前だってちゃんと見えてる」
食べていたガムはいつの間にか無くなっていた。
ほのかにリンゴが香る唇で、名前にキスを落とす。
「……っバカ」
「何とでもどうぞ」
頬を赤く染めた名前を開いている右腕でぎゅっと抱きしめる。
そのまま倒れこむようにベッドに押し倒される。
「…原くっ……ん」
「ダーメ、逃げるの禁止」
ニヤッと笑った原は名前にキスを繰り返す。
そんな最中、名前の目が「あっ」と言わんばかりに開かれる。
「…ん、どーかした?」
「今、目、ちょっとだけ見えた…」
「あり?見えないはずなんだけど…ま、いっか」
そう言うと右手で長い前髪をかき上げる原。
初めて見る原の瞳に、さらに頬を染める名前。
「んー、やっぱこっちのほうがよく見える。名前顔超真っ赤…」
「…っうる、さいっ!…原くんのバカッ」
「えー、ちょっと傷つく…」
「…でも、カッコイイ…っ」
真っ赤になりながら呟いた言葉に思わず赤面する原。
はぁと小さくため息をつきながら。
「…今の、反則。…ありがと」
そう言うと、右手を赤く染まった名前の頬にかけ
リンゴの香りをうつすくらい、熱いキスをした。
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