「ねぇ、もうやめなって…」
「いーの!明日休みだし!」
タンクトップにショートパンツというラフな格好、隣のグラスの倍の速さで減っていくワイン。
明日が休みだから、そんな単純な理由で酒を飲みだすような名前じゃないことは彼氏である氷室が1番わかっていた。
「…なぁ、何かあった?」
「別に、なんでもないよー」
軽く応える名前を見て軽くため息をつく氷室。
「…俺が名前より年上だったらよかったのに」
グラスを掴む手を止めて氷室を見つめる名前。
酔って赤くなっていた顔が少し白くなる。
「…なんで?」
「俺が年上だったら名前にもっと甘えてって言える。名前だってさ、もっと甘えていいんだよ?」
「…私は、じゅーぶん辰也に甘えてるんだけどなぁ…」
少し悲しそうな顔を上げる氷室。
酔っているのか、照れ隠しなのか。
ためらいもなく抱きつく名前。
「辰也にはさ、すっごい感謝してるの。こんな情けないのに一緒にいてくれて…さ
これでも結構甘えてるつもりなんだけど…ね。
ほら、一応年上なんだから。見栄、張らせてよ」
苦笑いを浮かべる名前、陰っている氷室の顔に手をかけて言葉をつなげる。
「辰也もさ、もうちょっとでいいから、私に頼ってよ。
全然頼りないけど、さ。辛いこととか苦しいこととか、1人で抱え込まないでよ…」
ちゅっ、とおでこに触れるだけのキスを落とすと、微かに氷室が笑った。
"ありがとう"と小さな声で呟いて、そのまま名前の唇を塞いだ。
「…っん…ふ…」
深い口付けの後、肩にかかる人1人の重さ。
規則正しい寝息を立てる名前。
仕方ないな、という顔をしてお姫様抱っこで名前を寝室へ連れて行く。
「本当に年上…?警戒心無さすぎ…。
まぁ、そんな名前も大好き、だけど」
ベッドに名前を降ろして、おやすみのキスを一つ。
頬に落として。
―――I love you just the way you are.
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