「名前、生まれてきてくれてありがとな」
和成の誕生日なのに、私にありがとうって、
どうして?
ありがとうって言いたいのは、私なのに。
「だってさ、考えてもみろって。俺が生まれてても、
お前が生まれてなかったら、俺達は出会って無いんだ。
同じ年に生まれて、お互い16年間生きてきて。
たまたま同じ学校に入って出会って。
恋に落ちて、今一緒に居る。
これってさ、すげーと思わない?」
…運命ってやつを和成は信じてるの?
「信じてる…っていうのとは違うな、真ちゃんじゃねーし。
俺はさ、運命ってより、奇跡だと思うんだ。」
奇跡?
「そう、奇跡。
運命って言うのは神様が引いた線の上を歩いてる感じがすんの。
でも奇跡はさ、違う気がすんだ。
なんか、こう、神様が気まぐれで作った料理みたいな。」
料理って…。
でもわかるかも、その気持ち。
「だろ?
俺らはさ、その奇跡に愛されたんだ。
めったに神様に感謝なんかしねーけどさ、
今だけは、マジでお礼言いたいわ」
…和成、生まれて来てくれてありがとう。
好きになってくれてありがとう。
一緒にいてくれて…ありがとう。
「俺こそ。
ありがとな、名前。」
奇跡に愛された私達が、これからも。
ずーっと一緒に、いれますように…。
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