黒子のバスケ | ナノ

背後から奇襲アタック

『笠松先輩!』

そう言って名前は後ろから抱きついてくる。
いつも満面の笑みで嬉しそうにぎゅっと抱きついてくるのが
仕方なく可愛い。

〔ぎゅっとしやすい身長差は32cm〕
そんなことを黄瀬が言っていた気がする。
178cmの俺と146cmの名前。
なんの偶然かぴったり32cm差。


『笠松先輩、恋人の理想身長差ってどれくらいか知ってますか?』
「恋人の…。32cmぐらいか?」
『それはぎゅってしやすい身長差です!』

知ってる。
ぎゅっとしやすい身長差は32cm、
理想のカップル身長差は15cm。
黄瀬に散々聞かされたからな。

『あ、ちなみに32cmはですね…』
「俺と名前の身長差」
『…知ってたんですか?』
「まあな」

なんてことない顔をしても、嬉しいもんは嬉しいんだ。
偶然とはいえぴったり32cm、こんなに嬉しいことなんかない。
ただ…。


「もうちょっと伸びればな…」
『どうせちっちゃいですもん…』
「そういう意味で言ったんじゃねぇよ」

別に今が不服なわけじゃない、
でもやっぱり俺も男なわけで。

「あと10cmは欲しいよな」
『10cmはどんな身長差ですか?』
「…聞きたいか?」
『…遠慮します』

ほんとは伸びたって伸びなくたっていい。
ずっとこのまま、名前が隣にいてくれたらそれでいいんだ。


『でも私だってもうちょっと大きくなりたいです』
「目標は?」
『163cm』

163cm、俺との身長差…15cm。
理想のカップル身長差…15cm。

「名前…」
『…ほんとは166cmがいいです』
「なんでだ?」
『キスしやすい身長差です』

つくづく思い知らされる。
何やったって…

「名前には叶わないな」
『どういう意味ですか?』
「気にすんな。それよりほら」
『…なんですか?』
「してみようぜ、キス」

我ながらなんつー恥ずかしいことを口走ったのか。
目の前にいる名前は顔真っ赤で、でもそんな名前でも可愛いくて。

『ほんとにするんですか?』
「当たり前だ、ほら」

顔を真っ赤にして、制服をつかんで必死に背伸びする姿が
あまりにも可愛すぎて。
ほんとに小さいから俺だって屈まないと届かない。


『…んっ…』
「…やっぱちっちゃいままでいい」
『なんでですか?それに小さいって言わないでください!』
「キスしようと必死に背伸びする名前、可愛いから」

そう言った俺は〔行くぞー〕と言って歩き出した。
後ろから追いかけてきた名前がまた抱きついてくれるのを
楽しみに待ってる俺。


こんな日々がずっと続けばいい。




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