「10人に"I Love you"って…そんな興味ない人に言う気とか無いッスよ…」
罰ゲームのために席を立てばクラス中の女子の視線を集める黄瀬。
そんな視線には目もくれず、ずかずかと歩いていく、
1人の女子生徒の後ろに立つと元気な声でその生徒を抱きしめた。
「名前っちー!」
「っ、涼太!?」
名前と呼ばれた生徒はほんのりと顔を赤くし後ろを振り向く。
キラキラと眩しい笑顔を向けられて周りの生徒は心なしか後ずさっていく。
「どうしたの?」
「罰ゲームッス、名前っち」
苦笑いを浮かべた後、名前の耳元に口を寄せいつもより低い声で囁いた。
「…I Love you」
「!?!?」
囁かれた瞬間に顔がさらに真っ赤になる名前。
そんな中黄瀬がいる班から言葉が飛んでくる。
「おい黄瀬!10人にって書いてあんだろー!」
「10人とか嫌ッス。そのかわり名前っちに10回言うから大丈夫ッス」
大丈夫じゃねぇよ!という応答を無視して名前の方に向き直る。
そんなことを言われた名前はますます顔が赤くなり口をぱくぱくさせる。
「ちょ、涼太…ここ教室…!」
「ん、教室じゃなきゃ良いんスか?じゃあ…」
そういうとひょいっと名前を抱き上げ教室を出て行こうとする黄瀬。
班のメンバーや先生の言葉を聞く気は無いようで。
屋上まで名前を連れてくると、ベンチに優しく降ろし意地悪に笑ってこういった。
「覚悟、してくださいッスね?」
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