黒子のバスケ | ナノ

変わらない、変われない

「良くん…、ごめん…」
「大丈夫です、苦しくないですか?」
「うん…」
名前の前に広がっているのは一口分あるかないかの量で盛り付けられた小さな弁当だった。
夏休みに体調を崩しなにも食べれずにいたらそのまま拒食症となってしまい体調は悪くなる一方。
彼氏である桜井はそんな名前のために弁当を作り続けていた。

「ごめんね、せっかく作ってくれたのに…」
「気にしないでって言ってるじゃないですか。大丈夫ですよ」
それに前より食べれてます――――。
嬉しそうな笑顔で語る桜井を名前は正面から見ることができなかった。
自分のせいで迷惑をかけている後ろめたさから塞ぎがちになってしまった名前を桜井は文句ひとつ言わずにそばに居続けている。

「迷惑なんかじゃないですよ。僕がしたくてこうしてるんですから」
「でも……本当にごめんね良くん…」
今にも泣き出しそうな名前を優しく抱きしめる桜井。
元々細かった名前の体はますます細くなり強く抱きしめたら折れてしまうのではないかと思ってしまうほどだった。

「いいんですよ、ゆっくり進もう、ね?」
「うん……」
「明日は何が食べたい?なんでも作りますよ」
優しい口調で問いかける桜井。
そんな桜井に釣られるように名前も優しい口調で答えた。

「全然食べれない…けど、良くんの作ったものならなんでもいいよ」
どこか切なそうにふわりと笑った名前の額に、桜井はOKサイン代わりのキスをした。

prev / next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -