黒子のバスケ | ナノ

きっと、これが幸せ

*会話文中心


「テツヤ、豆腐を食べろ」
「え…」
「涼太、豆腐を食べるんだ」
「またッスか…?」
赤司宅のこたつで鍋を囲むいつもの6人。
今日は12月31日、大晦日である。

「赤司…これで豆腐何パック目なのだ…」
「何パックって…まだ8パック目だが」
(((十分多い(ッス)(のだよ)…!)))
終わらない豆腐地獄の中、紫原がぽつりと言った。

「ねぇ赤ちん、そばは?」
「そばって年越ソバのことか?」
「うん、食べないの?」
「もちろん食べるさ、鍋が全部片付いたらな」
そう言った赤司はまぶしい笑顔で黄瀬・青峰・緑間・黒子を見る。
暖かい鍋を囲んでいるはずなのに冷や汗が止まらない4人は、ひきつり笑いを浮かべながら鍋に残る白い悪魔(豆腐)をたいらげた。

「と、豆腐が…」
「いっぱい……っう…」
「美味しかったようで何よりだよ、さぁ蕎麦でも食べようか」
そう言って赤司が持ってきたのは山盛りにされた蕎麦。
明らかに夕飯を済ませたあとに食べる量ではない。

「あ、あの赤司くん…お蕎麦多すぎませんか…?」
「はいほーぶ、おえあえんふたえゆー(だいじょーぶ、俺が全部食べるー)」
「敦、食べ物を口に入れたまま喋るな」
さっそく蕎麦を食べている紫原。
先ほどまであれだけの鍋(主に豆腐)とお菓子を食べていたとは思えない食欲だ。

「見ての通り、蕎麦は敦がたくさん食べるから。みんなは食べれるだけ食べればいいさ」
そう言うとずぞぞぞぞ…と優雅に蕎麦を食べ始める赤司。
それにつられてほかの四人も少しずつ蕎麦に手を伸ばす。


「今年も終わりッスねー」
「早いですね、一年が過ぎるのは」
「そうだな、気が付けば…冬だ」
しみじみと蕎麦片手に語る黄瀬・黒子・緑間。
青峰は蕎麦を食べつつマイちゃんが出演している年末番組に釘付け。
赤ちん蕎麦美味しいーと言いながらどんどん食べてゆく紫原、それを見守る赤司。
年越しまであと五分、の時。

「大輝、リモコンを貸せ」
「まだマイちゃんの出番終わってね…」
「大輝?」
「…はいはい」
黒い笑みで言い寄られしぶしぶリモコンを渡す青峰。
リモコンを受け取った赤司はさっとチャンネルを変えると何事も無かったかのようにまた蕎麦を食べ始める。

「っぶっ!……げほっげほっ…」
「ちょ赤司っち!ジョニーズって…!」
「青峰くん、大丈夫ですか?」
赤司が変えたチャンネルにはキラキラと輝くジョニーズタレント達がコンサートをしていた。

「年越しといえばジョニーズカウントダウンだろう、当たり前だ」
「赤司…」
「赤ちん意外ー」
そんなことを言っていれば今年が終わるまであと一分。
紫原がほわほわとカウントダウンをしていく。

「みんな、今年一年お疲れ様。来年もよろしく」
「よろしくお願いします」
「よろしくッス」
「よろしくなのだよ」
「おー」
「おろひくー(よろしくー)」

3.2.1―――――

「明けましておめでとうございます」
「あけおめッス!」
「明けましておめでとうなのだよ」
「あけおめー」
「おめでとー」
「明けましておめでとう」

こたつを囲んでそう話す6人は、どことなく幸せそうな顔をしていた。

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