黒子のバスケ | ナノ

手に負えない

※会話文中心
 誰が喋っているかは感じてください。


「…なんて読むんですか…これ」
そう言う黒子の手に握られているのは1枚のテスト用紙(国語)。
点数のところには赤いインクで5と書かれ、解答欄には文字として認識できるかできないかの境目を彷徨う文字(らしきもの)がのたうちまわっていた。

「これは…」
「…ひどい…ッスね…」
「峰ちん、いくらなんでも汚すぎー」
そう、この解答用紙はもちろん青峰大輝のものである。
中間テストが返って来たはいいものの、解答欄からはみ出した文章、消しゴムを使わない漢字間違い、余白部分にある落書きなど。
全てがそのテストの凄惨さを物語っていた。

「…青峰くん、もう少し読める字で書いたらどうですか?」
「うるせぇな…おれはこういう字しか書けねぇんだよ」
「書けないも何もないだろう、大輝。僕が書けと言ったら書くんだ」
「げ…赤司…」
そこに現れたのはバスケ部キャプテン赤司征十郎。
青峰とは正反対の、字が綺麗なことに定評がある。

「青峰っち、赤司っちに文字の書き方教えてもらったら…」
「てめぇ、馬鹿にしてんのか?」
「馬鹿にされるような字を書いているからなのだよ」
「そういえば緑間くんは字が綺麗ですよね」
「当たり前だ、人事を尽くすことのうちには字を綺麗に書くということも含まれるのだよ。」
「真太郎の言うとおりだ、大輝。5点もくれた先生に感謝するんだよ。」
「僕が先生だったら、見た瞬間に丸付けする気が失せます」
「てめぇら、人が聞いてれば勝手なこと言いやがって…!」

ふるふると震える青峰、そんな皆を後ろからのそっと見下ろしている紫原。
赤司の頭の上でまいう棒を食べているため赤司の髪には食べかすがぱらぱらと落ちていく。

「とにかく、大輝は真太郎に字を習え。そして敦、人の頭上でお菓子を食べるな」
「なっ、ほんとにやるのかよ!」
「当たり前だろう!こんな汚い字でバスケのスコアを書かれるこっちの身にもなってみるのだよ!」
「確かに青峰っちが書いたスコアって読めないッス…」
「そういう黄瀬くんはテストどうだったですか?」
「げっ…いや、あのそれは…アハハハ…」
「…悪かったんだ」

赤司の頭上でお菓子を食べることをやめた紫原はぼそっと呟く。
その光景を見ていた赤司はしびれを切らしたようにこういった。

「……毎日練習前と後に、大輝と涼太は勉強会!いいな!」
「えっ、でも赤司っち…」
「涼太、僕の言うことは?」
「…ぜ、絶対ッス…」

こうして練習前後の勉強会が確定、コーチである緑間と赤司が練習とは全く関係ないところでやつれていくのは…時間の問題であった。


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