黒子のバスケ | ナノ

伝わる鼓動と緊張

3月7日、高校入試前夜。
大好きな花宮先輩と同じ霧崎第一高校に入るために今日まで頑張ったんだから、
きっと大丈夫。

「…名前、もう寝ろよ」
「あと少し…だけ」
明日は普通に学校だというのに、家に泊まっていくと言った先輩。
最後の最後まで勉強に付き合ってくれた。

「…っん、これで終わり…!」
残っていた問題を解ききって、ベッドへ向かう。
分厚かった数学の問題集、解ききれるか不安だったけどなんとか全部終わらせた。
これだけやったという事実が私の中で自信に変わる。

「ほら、おいで名前」
「先輩猫かぶらないでください」
「んだよ、つまんねぇな」
そういいつつも布団の中で私を抱きしめて離さない先輩。
いつもこういう状況になるとキスで止まらないことも何度かあったけど、
まぁ…さすがに今日はないだろう。

「…先輩、ありがとうございます」
「何が」
「全部です、勉強教えてくれたり、差し入れくれたり…。先輩忙しいのに…」
部活の合間を縫って解き方のヒントをメールで教えてくれたり、
休みの日は家まで来てずっと勉強を教えてくれた。
先輩がいなかったらきっと解けないままの問題をがたくさんあった。

「別に…お前のためならなんともねぇよ」
「せんぱ…」
「ただし、俺がこんだけ協力したんだ」
そういった先輩は一瞬意地悪く笑ったあと、ふわっとした笑みを浮かべてこういった。

「…絶対受かれよ。…一緒に登校して飯食ってたまにサボって部活やって一緒に帰って。そんな何気ねぇことが楽しみで仕方ねぇんだよ、俺らしくもねぇ」
「…先輩…私も、ずっと先輩と一緒にいたいです、同じ学校でいろんなことしたいです」
いつになく気持ち悪いくらいに素直な先輩。
そんな先輩につられて私も本当のことを言ってしまう。

「私約束します、ずっと先輩のこと、先輩って呼び続けます。ずっと一緒にいます。だから明日…絶対合格します」
「…当たり前だ、バァカ」
微笑み目を閉じると瞼に温かい感触、先輩からのおやすみのキス。

これで、きっと、明日は、大丈夫。



来年、名前が霧崎第一に無事合格し、花宮と学校一のバカップルとして有名になるのはそう遠くない話かもしれない。

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