黒子のバスケ | ナノ

今年にさようならを告げて

12月31日、もう少しで年明けといった時間に名前は1人神社で待ち合わせをしていた。
「大晦日の23時45分に●●神社で」
それだけのメールでも心が暖かくなるのを感じる。
もこもことしたマフラーはクリスマスプレゼントとして先輩からもらったものだ。
身に着けているだけでふにゃりと顔が緩んでしまう。

「なーにニヤけてんだよ」
「あ、先輩!」
軽くデコピンをされ、顔を上げれば愛しい先輩の姿。
45分ぴったりである。

「こんな夜中に悪いな。親御さん怒ってなかったか?」
「全然大丈夫ですよ。先輩と一緒って言ったら『なら大丈夫だ』って逆に安心してました」
「そうか」
苦笑した先輩は本殿に向かって歩き始める。
さりげなく名前の手に指を絡めて。

「年明け…だなー」
「ですね…」
夏休みから付き合い始めた2人は時に喧嘩もしながらここまで来た。
一時は別れる寸前までの溝もできたがお互いに和解し一緒に居ることを決めた。
そんなことを思い返しながらふと名前が言葉にした『幸せ』の言葉。

「幸せ…か」
「私幸せです、先輩と一緒に居れて。喧嘩もしたけどそれでも一緒にいて良かったってすごく思います」
「…俺も、だな」
先輩も苦笑する。
はじめは黄瀬のファンとしてバスケ部に顔を出して居るのかと思っていたが、黄瀬がいない日でもいつも練習を見に来ている名前を不思議に思っていた。
ある日『モデルの仕事で黄瀬はいないぞ』と言えば、黄瀬ではなく先輩を見に来ているという。
それが2人の出会いだった。

「あの時はビックリした、ずっと黄瀬を見に来てたと思ってたからな」
「私はずーっと先輩だけを見てたのに…」
「だから、悪かったって…」
少しだけ鈍かったその時の先輩を根に持ってはいるものの、こうして一緒にいられるのならばそれは特に気にならないようだ。

――――30!29!28!27!26!…………
新年のカウントダウンが群集のあちこちで始まる。
どうやら本当に後少しで年明けのようだ。

「…なぁ、名前」
「ん、なんですか…っっ!?」
急に抱きしめられる名前、突然のことに頬が赤く染まる。

「っあ、あの、せんぱ…」――5!4!3!
「………好きだ」――2!1!
「っぅ…」――0!

<あけましておめでとうー!>

0の瞬間に重ねられた唇、紡がれる『好き』の言葉。
離れた唇から紡がれる言葉はもちろん、
「…わたしも、です…」
「今年も一緒にいてくれる…よな?」
「もちろんです!」


―――名前、なんてお願いしたんだ?
―――言っちゃったら意味なくなっちゃうんですよ?だから言いません!(絶対に恥ずかしくて言えない…!)

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