黒子のバスケ | ナノ

二人だけの時間

「わ…わたしが、プレゼント…です!」
ひらひらのメイド服をまとい顔を赤く染め、伊月の前に立ちはだかる名前。

「…なに、やってんの…?」
「だ、だから、わたしがプレゼン…っ!」
なにかを堪えきれなかったように名前を抱きしめる伊月。
ぎゅーっと抱きしめる腕のなかでじたばたと暴れる名前。

「こら、暴れるなって」
「やっ、あの、だって…!」
涙目&上目遣いで伊月を見上げる名前、見つめられた伊月は瞬間的に頬を染める。

「…っ、だって、何?」
「だ、だって、今日は先輩の誕生日だから、わたしが、お祝いするんです!」
今日、9月23日は伊月の誕生日。
それは当の本人もわかっているのだが。

「嬉しいけど…、なんでそんな格好して…」
「き、木吉先輩に聞いたら、男の人はこういうのが好きだっていうので…」
「(木吉…!ありがたい…けど名前に変なこと言わないでくれ…)」
はぁ…と溜め息をつく伊月。
そんな伊月を不安げな目で見つめる名前は、

「…やっぱり、似合ってないですよね…」
「そんなことないよ、すごい可愛い」
「……っ、先輩!」
ぱあっと顔を明るくする名前、そんな名前を見て微笑み返す伊月。
そしてそんな2人のやりとりにしびれを切らす人が1人。

「……伊月、ここをどこだと思ってんだよ…。部室だぞ部室!バカップルな雰囲気垂れ流してんじゃねぇよダァホ!」
「伊月くん…さすがに、我慢の限界かも…」
バスケ部の部室でこんなやりとりをされては、我慢ならない日向をはじめとするバスケ部メンバー。
すっかりここがどこか忘れてしまっていたようで、思い出した名前は顔を真っ赤に染める。

「っ、あ、あの…、えっと…」
「あー、名前ちゃん…大丈夫?まったく鉄平が余計なこと言うから…」
「俺のせいかよ…」
そんなカントク達のやりとりを背に、名前の手を取って歩き出す伊月。
ドアに歩いていくその顔は、どこかしら嬉しそうだった。

「っえ、あの、先輩…?」
「ちょっとカントク、"二人だけの時間"過ごしてくる、それならいいよな?」
「……部活始まるまでには戻って来いよ。」
仕方ない、といったように送り出す日向。
ありがと、と小さく言った伊月を送り出したドアは、ぱたんと音を立てて閉まっていった。

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