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キスでとける魔法



「あの、寿さん…?」
「なーにー?」
ドアから顔だけをひょこっと出した春歌は顔を赤くして嶺二に問いかける。

「これは一体どういう…」
「いーから早くおいで…ねっ?」
そう言いながら春歌の元へ歩いて行く嶺二はどことなく上機嫌だった。
嶺二に手を引かれ部屋から出てきた春歌はトレーナー一枚だった。
ワンピースというには丈が短すぎるのだが。

「寿さん、あのなにか履くものを…」
「だーめ。可愛いからそのままでいてって」
子供のようにいたずらっぽく笑う嶺二の頬は心なしか赤かった。
なぜ春歌がこんな格好をしているかと言えば、とても単純に、雨のせいである。
突然の雨に降られ服が濡れてしまったので、乾くまで嶺二の服を着ている状態にある。

「…恥ずかし…っ」
「…ねぇ、なにか感じないの?」
「何か…っですか?」
顔を赤らめながらもきょとんと首を傾げる春歌。
何かを言って欲しいのかそわそわしているような嶺二。

「いや、そのぎゅってされるみたい…とか」
小さな声でぼそっと離す嶺二、そんな嶺二を見てもなお春歌は意味がわからずきょとんとしている。

「ぎゅ…?ってこうですか?」
そういうと春歌は上目遣いで嶺二を見ながらぎゅっと抱きつく。
春歌の突然の行動に慌てふためく嶺二は春歌の耳元でそっと囁く。

「可愛いことしないでよ…止まんなくなる」
「っえ、あの……っ!?」
そっと落とされたキス、唇を離せばぽーっと嶺二を見つめる春歌。

「ことぶきさ…」
「嶺二、そう呼んで…?」
「…嶺二…さん…」
「そう……っん」
またも落とされるキス、唇が離れた直後に春歌の目線がぐっと変わる。

「っえ!?ちょっと、嶺二さん…!」
「ごめん、止まんない、」
お姫様抱っこで寝室へ連れて行かれる春歌。
顔を真赤にして抵抗するも嶺二には意味が無いようで。

「嶺二さんっ、歩けます…から!」
「いいから、おとなしくしてて。じゃないとお仕置きしちゃうよ?」
そう言われた春歌は少し固まる、暫くすれば抵抗するのを諦めたようでぽふっとベットに降ろされる。

「脱がしちゃうのはもったいなけど、ね?優しくするから…」
そういった嶺二は甘いキスを春歌におでこに落とした。



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