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Marrige from spirit


「あ、あの黒崎先輩…、もうやめた方が…」
これでビール6缶目。これ以上飲んだら明日の仕事に支障がでてしまう。
でも声をかけても全然やめる気はなくて…。

「…春歌、ちょっとこっち来い」
「…っ」
普段は七海ってしか呼ばないのに、2人っきりになったりお酒を飲んだりするといつも「春歌」って呼ぶ。すごく恥ずかしい、けど嬉しい。
黒崎先輩に手招きされて先輩のそばに行けば、ぐっと腕を掴まれて黒崎先輩の腕の中へ。後ろから私を抱きしめるのが好きな先輩。

「…っ、あの黒崎先輩…」
「名前で呼べ…っつったろ」
酔っているのか少し優しい声になる先輩。2人のときに"黒崎先輩"って呼ぶと、淋しいのか、名前で呼んでほしいという意思表示なのか、すごく不機嫌そうな顔をする。

「…蘭丸さん…」
「…ん、それでいい」
そういうと蘭丸さんは私の手に指を絡めて、耳朶にキス1つ。
お酒が入った蘭丸さんはいつもより優しくなる、けど落ちてくるキスは倍になる。
ほんと、お酒って怖いです…。

「んー、春歌…」
私をぎゅっと抱き締めて顔を背中にうずめる蘭丸さん。
髪の毛が首筋にチクチクとあたって少しくすぐったい。

「蘭丸さん、くすぐったい…です」
「いいんだよ、俺がいるってわかるだろ」
いつもは言わないような言葉を話す蘭丸さん、私を離す気はさらさら無いようで。
飲んでいたお酒の匂いといつもつけている香水の匂いが混ざって少しくらくらしてくる。

「春歌、こっち向け」
「だったら一旦手離してください…」
「…っち、しょうがねぇな…」
そういうと渋々手を離して、私は体の向きをぐるんと変える。
正直何回経験しても、まっすぐ向かい合うのは慣れないというかなんというか…。

「…っつ」
「春歌、お前いつまで恥ずかしがってんだよ」
「だ、だって…やっぱり恥ずかしい…」
どうしても恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまう。
でもそうなると蘭丸さんは私をぎゅって抱きしめるから、お互い顔が見えなくなる。
でも心臓がうるさいのはお互い様で、耳まで真っ赤なのもお互い様。

「春歌…好きだ」
「…私も…」
ぎゅっと蘭丸さんを抱きしめ返す。
そのぶん蘭丸さんも私を抱きしめ返してくれてもっとぎゅってされる。

「仕事があって飯が食えて、家に帰れば春歌が居て。俺は幸せだ」
優しくも少し淋しそうな顔で話す蘭丸さん。お酒に酔うとこうして本音を言うことが増える。

「私も幸せです、蘭丸さん。」
「…そうか」
そう言った蘭丸さんは私のおでこにキスをして、優しい目で呟いた。

「春歌、左手の薬指絶対開けとけよ」
「っ!?」
にやりと笑った蘭丸さんは、私の耳元でこう囁いた。

「いつか、絶対迎えに行く。一生離さねぇから覚悟しとけよ?」
言葉が途切れるか途切れないかの所で蘭丸さんは私の唇にキスをした。
それはまるで結婚式の誓いのキスみたいで、ほんのり甘酸っぱかった。


「ずっと待ってます、ずっと一緒にいます。絶対に迎えに来てくださいね、旦那様」

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