妖狐×僕SS | ナノ

この気持ちだけは譲れない

先に言っておくが名前は俺の彼女だ。
だから……問題ない。



「れーくん、れーくん!見て見てー!」
「おー。どした、名前?」

白いロングスカートの裾を踏みそうになりながら名前が駆け寄ってくる。
腕の中にはピンクの花を咲かせた植木鉢が一つ入っている。

「その植木鉢、どうした?」
「これね、学校の先生に貰ったんだよー。緑化委員の仕事頑張ったからって!」
「へー、偉いな名前。」

頭を撫でてやると顔を赤くして照れる、こんなとこが可愛くて仕方ない。
しかしこんな状況はそうそうないだろう、妖館に名前と2人きり。

学校やら仕事、買い物に旅などいろいろ偶然が重なり今は2人しかいない。
2人しかいないといっても普段となにも変わらない…はずだった。

「ねぇねぇ、れーくん。」
「ん、どした?」
「今からこの花、部屋においてくるから、そしたら…部屋来て?」
「いいけど、なんで?」
「映画新しいの借りてきたから2人で見ようかなーって。」

名前が映画好きというのもあって最近よく映画を見るようになった。
別に嫌いな訳でもないし好きなわけでもない、けどこいつと居られるならそんなのどうでもよくなる。

「あぁ、いいよ」
「ほんと!?じゃああとでメールするからそしたら来てね!」

満面の笑みを浮かべてまた白いスカートを踏みそうになりながら名前は部屋へ戻っていった。
本来ならこの後名前の部屋に行って、のんびりコーヒーでも飲みながら映画を見るはずだったのに…この日はそうも行かなかった。

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー

名前が部屋に戻ってから30分以上たっている。なのに一向に名前が部屋から戻ってこない。携帯になんの音沙汰もないというのはさすがにおかしすぎる。

心配になった俺は名前の部屋まで行ってみることにした。だが名前の部屋からなにか変な音や声が聞こえてくる。怪しく思った俺は部屋のドアに耳をそばだてた。するとそこからは…


「んんっ!あっああっ!」


色っぽい声を出す名前、普通じゃない事に気づいた俺は名前の断りなく部屋のドアを開けた。するとそこには通常では考えられない光景が広がっていた。




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