皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 未門陽太B(1/2)

「きみにしては珍しく思ったことを言わないじゃないか」

感心しているような、呆れているような、そんな声色だった。
ベッドにいる俺はぎくりと肩を震わせ、横に備えられた椅子に座る人物に視線を向ける。
カガリはなにか言いたげな表情でじとりと俺を見ていた。
少し、落ち着こう。
落ち着いて話をすればカガリに悟られることはないはずだ。

「いきなりどうしたんだよ、カガリ」
「どうした、ねえ……今日のきみは私が部屋に来た時からなにか言いたそうな顔をしてる」
「そ、そんなことないだろ」
「目が泳いでるよ」

自分が存外嘘をつけない性質(たち)であることを改めて思い知らされた。
いや、カガリの察しが良いということもあるが、とにかくこれは観念して話をせざるを得ないようだ。

「……なあ、確かカガリにも弟と妹が居るんだよな」
「うん? 超絶可愛い弟と超絶可愛い妹が居るけれど、それがどうかしたかい?」
「やっぱりいい」
「なんだい、その顔は。話だけなら聞くよ」

真面目な雰囲気を微妙な空気に変えておいてそれはないと思う。
いや、カガリ自身は至って真面目なのだろう。真剣に自分の弟と妹を溺愛している。
俺はカガリのように素直に家族が好きだとは言わないが、家族のことは好きだし、大切だと思っている。
だからこそ、考えずにはいられなかった。

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