皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 荒神ロウガA(1/7)

ワールドバディスタジアム建物内にある関係者以外立ち入り禁止の区画。そこには俺専用のトレーニングルームが存在していた。
臥炎財閥はWBCカップに少なからずの出資をしているため、御曹司であるキョウヤが無理を通して用意させたものだ。
俺が負けたあの日からしばらく経ったが、キョウヤなりの気配りだろう。
俺が退屈しないように。
何より、キョウヤの元に戻ることになった俺の存在が未門牙王達に露呈しないように。
しかし、連日トレーニング続きだとそろそろバディファイトの一つでもしたくなるというものだ。
キョウヤは臥炎財閥の御曹司として忙しい日々を過ごしているため、気安くファイトを申し込むことは出来ない(そもそも気まずい)。
キョウヤの小間使いは相手にならない(あれは相棒学園の一般生徒より弱いのではないか)。
さてどうしたものかとケルベロスと共に頭を悩ませながら廊下を歩いていると、WBCカップのスタッフ用休憩所にさしかかった。
何気なく通り過ぎようとしたが、思わず立ち止まってしまった。
簡易椅子に見覚えのある人物が座っていたからだ。

「く、黒岳カガリ……!?」
「……ん? おやおや、久し振りだね、荒神くん」

その人物、黒岳カガリは俺の姿を見るや否や、こちらに手を振ってみせた。
ここはアメリカのロサンゼルスであって、日本の超東驚ではない。
ここに居るはずがない。
しかし目の前にいる人物は黒岳カガリ本人としか言いようがなかった。

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