皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 龍炎寺タスクBその2(1/3)

「タスクッ!」

ソファに倒れ込んだタスクの肩を揺さぶってみるが、かたく目を閉じたまま動かなかった。
幸い、呼吸は正常に行われている。どうやら深く眠っているらしく、他に目立った変化は見られない。
一体、あの瓶の中身は何なのか。
早急に件(くだん)の悪魔二人を確保して、瓶の中身の詳細を吐かせることが先決だ。黒岳カガリに奴等の居場所を尋ねようと口を開きかけるが、声にすることは叶わなかった。

「やったぜ! 大成功だ!」
「ふふ、やりましたね」

その声と共にリビングと廊下を繋ぐ扉から現れたのは、ハトに似たバディモンスターとカラスに似たバディモンスターだった。
先ほどの台詞と「してやった」という表情から察するに、件(くだん)の悪魔二人なのだろう。

「貴様ら……!」

怒りで目の前が赤くなり、思わずSD化を解こうと構える。
それを見たカラスの姿を模した悪魔はせせら笑った。

「ジャックナイフさん。ここでSD化を解くとリビングが壊れてしまいますよ。お互い、穏便にいきましょう?」
「っ……!」

確かに悪魔の言う通り、ここでSD化を解いてしまえば、黒岳カガリの邸宅に多大な損害を与えることは避けられない。
その上、悪魔の言葉の裏には「瓶の中身の詳細を知りたくないのか?」という意味も含まれている。
下手に手を出すことは出来ない。
奥歯を噛み締め、忌々しげに悪魔達を睨みつけた。
まさにその時だった。

「――アスタロト、近所迷惑にならないように防音壁張っといて。ジャックくん、きみはちょっと待ってて」
「は」

黒岳カガリは椅子から立ち上がり、自身のバディと私に短く要件を伝えた。
直後一陣の風が吹き、リビングにけたたましい音が響き渡る。
慌てて音の方向へと視線を向けると、リビングと庭を繋ぐ窓ガラスがなぎ倒され、その先にある塀に悪魔達が叩きつけられていた。
蹴り飛ばしたのか。
それとも投げ飛ばしたのか。
本当に一瞬のことで分からなかったが、彼女が仕出かしたことが人間業ではないことは確かだ。
一体、彼女は何者なのか。
ちらり、とバディであるアスタロトを見遣ると、彼は苦笑いを浮かべた。

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