皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 絢爛朱雀、大公爵アスタロト(1/3)

「『未来に行かない方が良い』と言ったら、きみは怒るかい?」
「突然どうしたんです。きみらしくもない」
「一ヶ月しか関わっていないというのに私らしくないときたか。確かに私らしくないとは思うけれど、まあ、話を戻そう。もしも私が『未来に行かない方が良い』と言ったらきみは怒るかい?」
「怒りませんよ。子どもの戯言に怒る大人がどこにいます」
「なるほど。愚問だったね」
「……なぜ、そんなことを考えたんです?」
「いや、なに、きみ達が未来に行くことが果たして正しい選択かどうか改めて疑問に思ったまでだよ。『希望ある未来という言葉ほど無責任な言葉はない』というのが私の持論でね。確かに選択するのはきみの自由だ。きみが望まない限り、私はきみを引き止めないよ」
「まるで僕に引き止めてくれと言わんばかりですね。でも、僕の考えは変わりませんよ」
「後悔するよ」
「後悔しません。これは僕の、いえ、マトリクス達を含めた僕達の問題です。バディモンスターである僕達の気持ちは、人間であるきみには分からない」
「そうだね。知っているけれど、私にはきみ達の気持ちは分からない」
「でも、そんなきみのことは嫌いじゃなかったですよ。バディにするとしたら、きみが良かったと思ったくらいです」
「……心にもないことを言う。ま、私もきみのことは嫌いじゃなかったよ」
「そうですか」
「それじゃあ、改めて別れの挨拶といこうじゃないか。さよなら、絢爛くん」
「ええ、さよなら、カガリさん」


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