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!首×黒子
!折原臨也成り代わり
!設定は此方



昔からなんかおかしいなとは思っていた。
姓は折原。
別に何て事無い、普通に何処にでもあるものだけど成長するにつれて鏡で見る度にある人物を彷彿させるようになった。


そして私に双子の妹が生まれた時にある事に気付いた。
自分の立ち位置に。
そして彼女たちの名前も、私が無意識にこぼれ落ちたのを両親がしっかりと聞き逃す事なくそのまま命名。

よって。
私は折原臨也に成り代わった事を否が応無く自覚したのだ。


それからの私は大変だった。
少しでも危機を回避するべく、身一つでもいけるようにパルクールを会得。
格闘技も必要かと思ってあれこれ考えていたらいつの間にかナイフ捌きも身に付けていた。
何それ転生マジックか。あるいは特典。
はは、笑えねえわ。


「ねーねー桜夜姉!明日がっこうのにゅーがくしきでしょ!?
もしかして新入生だいひょーのおはなしとかするのっ!?」
「・・・舞流。何処からそんな知識を得たんだ」

折原舞流と折原九瑠璃は今年で六歳になるが私と七歳差である影響からか周りの子供達より成長が早かった。

「良いじゃないそんなこと!ねーねー桜夜姉おーしーえーてーよー!」
「はあ・・・違うよ。そんな面倒臭い事したくないし。
それに目立つのは好きじゃないしね」

人生二度目なだけあって小学校の授業なんて退屈の二文字以外に表す事は出来無い。
流石に1+1は?先生に聞かれたときは眩暈がした。
一瞬ボケてやろうかとも。


そんなこんなで中学校入学式。
真新しい中学の制服を身に纏い、校門を通り過ぎる。
途中であの極端に名前負けしているという、本家の天敵であり仇敵の"彼"に会わない事を祈りながら。




「・・・」

折原桜夜は壇上に立つ少年に視線が釘付けだった。
長くて面白くもない校長の話が終わり、新入生代表の演説が入る。
およそつい先日まで小学生だったとは思えない目でステージの上に目をやれば其処には鮮やかな赤色が映る。


「・・・・・・」

マジでかああああ!!
中っ中の人!私ファンだったんだよ!
あああああちょっ、嘘だよね嘘だといって!!


自分が成り代わってしまった存在も元は中の人は同じ。
だがこの世界において自分は女で、低い声なんて出せない。
だから諦めていたのに。

諦めていた分、その衝撃は言葉に出来そうにない。


―――今をもってこの瞬間から桜夜の中で一気に入学式どころでは無くなったのは言わずもがな。



  □■□



「桜夜姉、きょうげんきないね!どっかぐあいわるいのっ?」
「・・・何でもないよ。
そういえば舞流、九瑠璃は何処だ?
そろそろ買い物に行くけど、留守番してお、」
「いくっ!ちょっとまっててクル姉もよんでくるからっ!!」
「最初に言っておくけどお菓子は一人一つだからね」

折原夫妻は殆ど仕事で飛び回っており、長女の私が家事を肩代わりする事が多い。
淡々としており、浅く広い人間関係を保つ私だが流石に妹達を飢え死にさせるわけにはいかない。
手を抜きすぎるとネグレクトなんて言われる可能性だってある。

・・・いや其処は持ち前の情報操作で何とかするけどこの妹達は将来"ああ"なるかと思うと背に腹は代えられない。


「桜夜姉っあとごふんでクル姉も来るって!」
「分かったよ」
「桜夜姉ひとりでいっちゃうといっつもおそくかえってくるからもーおなかぺこぺこなんだよ!」

「・・・あー・・・それは・・・」

心当たりが多すぎて桜夜は妹から目をそらす。
趣味の人間観察に勤しんでいたらいつの間にか二時間経っていた、なんて事はざらにある。
今日の入学式も新入生代表の挨拶以外は人間観察しかしていない。

人間とは面白いもので見ていて飽きない。
特に腹に一物ある人間は。


ここら辺の思考というか嗜好は本家に影響されているんだろうなと思うと正直あれだが仕方ない。
これが今の私。折原桜夜。

今日から帝光中学に通いながら人間観察に勤しむとしよう。
その傍らで将来"池袋最強"と渾名される彼との邂逅もその内あるだろうし。

―――そう、私はいつだってありのままを受け入れる。
事象も現実も人間が関わらなければただの出来事で終わる。

だから私は人間が大好きだ。
だから。

「だから人間も、私を愛すべきなんだよねぇ。
―――なんて、戯言か」


あ、でも"彼"と天敵になるのは流石に勘弁。
いくら私でも自販機を投げつけられたくないよ。


というわけで臨也成り代わりでした!
結構本家寄りの性格を意識してみましたが彼処まで黒幕志向ではない、筈。
舞流しか出てきてないのは双子の現在の性格を決めたのは小学生の時だったし、今の双子は六歳。
六歳の性格がよく分からなかったのでこうなりました。
次書くとしたらシズちゃんとの邂逅編かな。
まあネタだし!単発だし!大丈夫大丈夫。

20150301