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!毛探偵×探偵
!デフォルト名:因幡茜
!設定は此方



「ここ・・・どこ?・・・はるにい・・・?」

ぽてぽて、と覚束無い足取りで何かを探すのは白髪赤目の少女。
十人中十人が振り返るであろう容姿を持つ少女の赤い瞳にじわじわと涙が浮かび上がってくる。

「・・ぅっ・・・は、はるにい・・・ひろにいっ・・・!」

大粒の涙が彼女の頬を濡らしたのはすぐ後のことだった。



  ◇◆◇



「・・・ん?」

ひっく、と小さな嗚咽が聞こえたのは突然だった。
一度気になってしまえば、次に考えてしまうのはやはり何処から、という疑問。


「ぅ、・・・っく、」


声の持ち主は意外と早く見付かった。
何故なら。


(うわっ・・・白髪?銀髪?
どっちにしろ日本人でこんな髪の色なんてそうそういねーし外国人か?
つーか・・・)


外見年齢小学一年生、精神年齢高校二年生の何とも複雑な事情を抱えた少年は目の前にいる少女に対する印象は『珍しい髪の色』だった。


「・・・なあお前迷子か?」
「ぅうっ・・・だ、誰?」


俯いていた顔が露になる。
前髪から覗く瞳の色は苺を連想させるように紅い。

白髪とも銀髪ともとれる髪の色に紅い瞳という二つの組み合わせから弾き出た答え。


「―――アルビノ・・・?」
「私、アルビノってお名前じゃないよ?」
「え、いや・・・」

少年、もといコナンは少女の台詞に一瞬動揺する。


・・・そうか彼女は自分の容姿に対する知識が無いのか。


「えーとオレは江戸川コナン。
お前は?」


本来なら見知らぬ人間に話しかけられたら不信感を抱くだろうが幸い、このアルビノ少女と自分は同い年位だ。
儚さを醸し出している少女は何処からどう見ても迷子だというのは一目瞭然。
ならば最終手段は警察だろうか。


「・・・江戸川・・・?」
「な、何だよ?」
「・・・・・・んーん・・・何でも無い。
えっと私はね、因幡茜っていいます!」


先程の涙は何処へやら、少女もとい因幡茜は満面の笑みを浮かべてコナンの手を握る。
純真無垢の笑顔に海色の瞳が瞬く間も彼女の口は閉じなかった。


「ねね、江戸川君はる兄とひろ兄知らない?
私の大事なお兄ちゃんなんだけど見付からなくて・・・」
「は、はる兄?ひろ兄?」
「うんっ!」

・・・恐らく愛称か何かだろうその名前にコナンは自身の頬が引き攣るのを自覚した。
とりあえず住所とその兄の名前をフルネームで聞くのが先決だろう。

コナンはそう脳内でひっそりと判断を下したのだった。



  ◇◆◇



「んで、オメーの兄さんの名前って?」
「だからはる兄とひろ兄だよー」
「・・・だからフルネームで言えって」
「んーと・・・因幡遥と因幡洋!」


私の自慢のお兄ちゃんです!と先程見せた時よりも輝いた笑顔に、どれだけ茜が兄を慕っているのか分かったような気がした。

・・・というか因幡遥に因幡洋?
何処かで聞いた事があったような気がするがそれは一体何処で?


「・・・?」
「どうかしたの?」
「え、あ否・・・住所とか覚えているのか?後その兄さんの小学校とか、」
「小学校?」


自分の言葉を反復した少女の表情はまるで初耳と言わんばかりのものだった。

・・・あれ?


「オメー、」
「お前じゃないよ茜だよ!」
「・・・茜、ちゃんとお兄さん何歳離れてる?」
「私が六歳ではる兄が十三歳でひろ兄が十九歳だよ!」
「・・・七歳差と十三歳差か」

納得。
質問に対する解答と微妙にズレてはいるがまあ良しとしよう。
恐らく中学生と大学生の兄も妹がいないと分かると探す筈だし、此処はやはり警察に一度知らせておくべきか―――。


そう考えを巡らせた時、茜が爆弾を投下した。


「あ、ひろ兄達皆の平和を守る警察犬なんだよっ!」
「・・・・・・・・・・・・」



"警察犬"ではなく"警察"という単語を耳にとらえたコナンが「それを先に言え!」と怒号が飛んだのはこの数秒後。

+おまけ+

「茜ーーーー!!」
「あっひろ兄!」
「茜今まで何処に行ってたんだっ!」
(あれがひろ兄こと、因幡洋・・・?)
「茜に何かあったら・・・にーに泣いちゃうぞ!!」
「ひろ兄泣いちゃダメー」

(・・・つーかオレ何処でこの名前聞いたんだっけ・・・あーくそっ思い出せねぇ!)

「ひろ兄、紹介するね私を助けてくれた江戸川コナン君だよー」
「・・・!」
「・・・え、あの・・・」
「にーにはこんな男と交際するなんて許しません!」
「こーさいー?」
(・・・ああシスコンか・・・)


久々に連載外主人公をupしました。
初めての幼女主人公、毛探偵因幡さんの妹ちゃんです。
ストライカーを見て創作意欲が湧いたので書いてみました(笑
主人公は遥と同じくアルビノ、恐らく匂いフェチになるかと思います。
毛探偵を知っておられる方は何かネタを提供して下さると嬉しいです!

20130425