その他 | ナノ

「・・・なーんて言うと思いました?」

「・・・・・・・・・・・・は、」


くすくす、と上品に笑う黒髪の少女。
一対のギロチンを持っている姿と比べると酷く不釣合いだったが、確かに笑っていた。

「私は酷く気まぐれなんです。
まぁ人識君には負けますけど・・・」
「ひと、しき?」

相手は相変わらずギロチンという凶悪な凶器を携え、いつでも殺せる体勢なのに、何も事態は変わっていない筈なのに、翔は肺が軽くなった気がした。


「嗚呼、此方の話です。
それよりも、貴方運が良いですねぇ。後少し早くこの道を通っていたら"彼"の様になっていましたよ?」

いえ、この場合運が良いと言っても微妙ですね。

そんな事を笑いながら言う彼女の指の先には血溜まりの中、崩れ落ちた人だったモノ。
それを視認した瞬間、翔は過ぎ去った筈の、嘔吐感が込上げてきた。

「・・・・・・ッ!」

ぐっと、掌で口を覆い、零崎雛織と名乗った少女を自身の瞳に映す。

「俺を、殺すんじゃ・・・」
「え?・・・嗚呼、そうですねぇ。
このまま"零崎"を続行しても良いのですが・・・これ以上続けると《人類最強》に《人類最怖》まで嗅ぎ付かれそうなので、今日はこれでお暇します」

だから安心して下さい。

そう言って少女は軽い足取りで、ギロチンを軽く振る事で血を吹き飛ばす。


ひうんひうん。


見た目鉄製のギロチンを軽々と操る少女に、翔は何も言えなかった。
少女が去っても、警察に通報するという行動さえ出来ずに。



  △▼△



その後。
翔はどうやって家に帰ったのか覚えていない。
きっと放心状態であったのだろう。
それでもしっかりと寮に戻れたのだから、自分の行動に天晴れというか何というか。


「・・・あれは夢だったのか・・・?」

新聞を見てもそれらしき記事が無い。
あまりにも禍々しくて見てられなかったが、人の姿を保っていない程細かく分解され血が出ていたのだ。
それこそ、身体中に流れる血という血が全て出ていた、と言っても過言では無いだろう。



「アレを夢と思っていたんですか?
まぁ表世界の人は普段あんな光景を見ませんから致し方ないでしょうが、あれは現実ですよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・あら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・うおおぉぉ!?」

声のする方へと振り向くと、其処には頭の中を占めていた存在が居た。

「なっ、なっなんで、」
「私が此処に居たら可笑しいですか?」
「可笑しいだろ!
此処学校だぞ、つーかオッサンセキュリティはどうしたっ!?」

翔の言う通り、二人が居るのは早乙女学園。
しかも関係者以外は立ち入り禁止であると同時に、誰も侵入不可能な場所である早乙女学園に、完全なる部外者である筈の零崎雛織が、其処に居た。


「其処は企業秘密です」
「企業ってお前、働いてんのか!?」
「いえいえ、まさか」

翔の心からの突っ込みに、雛織は人殺しとは思えない微笑を浮かべて、只一言放った。


「私は善良なる只の一般人ですよ?」
「嘘つくんじゃねェーーー!!」


私が作る主人公はどれもが食えない性格揃いの様な気がする・・・。
とりあえず、翔君は死んでいなかったというお話。
後、もう一人の主人公の二つ名が出てきましたが基本的に主人公同士が邂逅する事は無いです。
・・・結局私は何を書きたかったんだろう・・・。

20120610