Gift | ナノ
!『雪空』×『恋々』
!七星様サイト連載コラボ小説
!『雪空』主人公デフォルト名:紺野昴



俺と名前、紫原っちと昴っちのWデートで楽しみにしていたのに俺の機嫌は下降気味だ。

「名前ちん。もっとシフォンケーキちょーだい」
「紫原君。幾らなんでも食べ過ぎだよ…」

名前の作ったお菓子を紫原っちが嬉しそうに独り占めしているのが気に食わない。
普通そうすんのは名前の彼氏である俺でしょ?!
何で紫原っちが食ってんの!?なんて言いたい。

けど紫原っちからお菓子を取り上げたらどんな恐ろしいことが起きるかなんて帝光時代で身に染みて経験しているから目に見えて分かるから出来ない。

「……」

俺の隣りにいる昴っちも同じことを思っているみたいだ。
俺達と違って昴っちは有名なアイドル養成学校に通っている(交際は上層部に許可済み)し、互いに県外で大好きな紫原っちに中々会えないから余計に淋しいんだろう。

俺は昴っちの袖を引っ張った。

「昴っち。俺達って何で此所にいるんスかね?」
「それ以前に私も黄瀬君も完全に忘れ去られているよね」

二人同時に溜め息を吐く。
昴っちの手には紫原っちに作ったであろうお菓子が沢山詰まっているバスケットがあって仄かに甘い香りが漂う。

「材料の無駄使いだったみたい…」

紫原っちが名前のお菓子を美味しそうに食べているから無駄だったと思っているようだ。
俺が昴っちの立場でも同じことを考えるに決まってる。

楽しそうな二人を見るだけで、俺の嫉妬のパラメーターが振り切れそうで段々苛々してくる。
でも八つ当たりするなんて子供みたいだし何か癪に触る。

「昴っち。久々に俺と1on1でもやらないっスか?」
「…いいよ」

昴っちと頷き合ってその場からこっそり抜け出して近くにあるストバスに向かった。
互いの恋人に八つ当たりしたってどうにもならない。
大好きなバスケでこの怒りを発散させよう。




互いにバテるまでバスケに明け暮れたせいか、随分時間が経ったらしくもう日が傾きかけていた。
前から思っていたけどやっぱ昴っちはスゲェ。
俺や青峰っちと互角に張り合えるスタミナはどうやってトレーニングして培っているんだろう。

そう考えていたらお腹の虫が鳴った。
そういえばお昼から何も食べていなかったっけ。
何か食べたい、なんて思っていたら今度は昴っちが俺の服の袖を軽く引っ張った。

「黄瀬君。お菓子食べる?捨てるの勿体ないし」
「食べるっス!」

気遣ってくれた昴っちが天使に見えた。
一緒にいることの多かったバスケ部の中でも彼女とは結構仲が良かった。
俺がバスケットに手を出した時…

「涼太君!」
「昴ちん!」

同時に聞き慣れた声がして、振り向く。

「名前…」
「…敦君」

飛び出してきたのに気付いて思い当たる所を探し回ったのか息切れしていた。
それを察したのか俺と昴っちは視線を逸らして何を言おうか考えていたら…。

「二人して抜け出して何しているの?」
「昴ちん。俺じゃなくて黄瀬ちんとデートするなんて何考えてんの」

何も分かっていない二人の言い分にカチンときて昴っちと二人で大きく息を吸って…

「名前のお菓子を紫原っちが独り占めしてんのが嫌だったんスよ!
俺も食べたかったのに!」
「敦君が折原さんの作ったお菓子を美味しそうに食べているのが気に入らなかったんだよ!」

ほぼ同時に大声でやけっぱちに叫んで逃げ出す。

「あっ!ちょっと涼太君!!」
「待ってよ昴ちん!!」
「嫌っス!!」
「待てと言われて待つワケない!
暫く自分の行いを反省しろっ!馬鹿敦!!」

さっきの疲れも忘れてコート内をぐるぐる逃げ回る。
けど、昴っちは簡単に紫原っちに捕まって抱き締められ、俺も名前に手首を掴まれた。

「昴ちん。何で黙って黄瀬ちんと出てちゃったの?」
「…敦君が折原さんのお菓子食べていたのが嫌だった。
私だって敦君の大好きなお菓子沢山作ったのに」
「名前ちんにヤキモチ焼いたの?」
「…そうだよ。悪い?」

嫉妬した理由を把握した紫原っちは昴っちを今以上に抱き締めた。

「昴ちん大好き!」

紫原っちと昴っちは仲直り出来たみたい。
あっさり過ぎる!なんてツッコミを入れたら駄目だ。
この二人は元々バカップルなんだし。

俺はというと…

「涼太君。お菓子なら幾らでも作ってあげる」
「…」
「だから何も言わずにいなくならないでよ」

名前の表情を見て毒気が一気に抜かれた気がする。

「俺は名前を置いてけぼりにしないっスよ」
「今度置いてけぼりにしたら怒るし、紺野さんと…その…」

名前も少なからず昴っちに嫉妬しているからプラマイゼロ、かな?

もにょもにょと口ごもる名前を見つつもこっそり昴っちを見ると昴っちも同じことを考えていたらしく、笑っていた。

今度はちゃんとしたWデートをしたいと思って名前の頭を撫でた。

  Sugar Happiness
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七星光瑠様との相互記念として頂きました!(*^^*)
初のコラボ小説という事で凄く嬉しかったですw
また機会があればもう一回したいなと思う私は結構図々しいですかね(汗

何はともあれ有難う御座いました!

20130613