・・・・・・・・・何でこんな事になったのだろうか。
トキヤは半ば放心寸前の頭でそんな事を考えた。
しかしそんな思考もハイテンション極まりない声の持ち主によって掻き消される。
「うわわっヤバイよゆまっち!
トッキーってばこの制服も似合うよっ!北高男子制服!
萌えだよっ萌え!かっこいー!」
「こっちも可愛いっすよ栞ちゃんの北高女子制服!」
「わー本当だ!
栞ちゃん可愛すぎっ!」
「・・・・・・・・・・・・有難う御座います」
感情の起伏が読めないのが常の栞だが、この時ばかりは流石のトキヤも気付いた。
・・・・・・・・・あまり感情を露にしない栞さんさえも疲れを声に出せるなんて・・・!
こんな筈ではなかったのに、トキヤは再度遠い目をする。
何故こうなったのか。
それは一時間程時間を遡る。
♂♀
「・・・トキヤ、君っ」
「栞さん、」
いつも通り軽く変装したトキヤと栞。
待ち合わせ場所を人目につかない所で指定していた為か、トキヤと栞が芸能人という事はバレていないが、いつ気付かれるか分からないので念の為、栞は声を小さく出した。
「待たせてゴメンねトキヤ君」
「いえそんなに待っていませんよ。
それにいつも待たせてしまっているのは私ですからね、お相子ですよ」
「・・・私、そんなに待っているかな」
「・・・まさか気にしてなかったのですか?」
「特に。
他の人を待つ時はよく分からないけど、トキヤ君を待つ時はそんなに苦じゃないよ」
「・・・・・・栞さん、不意打ちは止めて下さい」
「・・・・・・・・・・・・ぇ、」
口元を押さえ、栞とは逆の方を向いているトキヤに栞は脳内にて疑問符を浮かべる。
・・・・・・はて。
何か変な事を言っただろうか。
栞はトキヤに手を引っ張られながら軽く首を傾げた。
しかし答えなど出てこなかったので栞は声を出そうと口を開けた瞬間。
「あれっ栞ちゃんだ!」
「あー本当っすねー!」
「久しぶりー!そっちの彼は彼氏かな!?
シズちゃんその事知ってるの!?」
「・・・・・・え、」
「・・・狩沢さん、遊馬崎さん」
変装を軽めにしたという事が仇となったのか栞は知人にあっさりとバレてしまい、芋づる式にトキヤも彼等に巻き込まれる事になってしまったのだった。
♂♀
「トッキーも栞ちゃんも素材が良いから何でも似合うよね!
もうこれは是非アニメがドラマ化した時は二人に頼みたい位だよ!
あっ次は執事とメイドで良いかな!?」
「良いっすね狩沢さん!
『あくまでも執事ですから』って言ってほしいっす!」
「・・・・・・・・・・・・すみません、日本語を話して下さい」
『セバスチャンだぁー!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
駄目だ、話が通じない。
寡黙な彼女にこんな友人がいるとは思わなかった。
否、通常よりも無言が酷い彼女の顔を見ると疲労困憊という言葉がありありと滲み出ている。
その表情を見ただけで、友人という一言ですむ関係では無いのだろうと何となく察する事が出来た。
トキヤは嘗て出会った事の無いタイプの人間にどうすれば良いのか分からず、結局事態を聞きつけた保護者が出てくるまで着せ替え人形と化していたのだった。
秘密デート終了のお知らせ
お待たせしました、50,000hit企画第十二弾は雷香様に捧げます!
私の中でワゴン組は常にこの二人が暴走しているイメージ(笑
トキヤに似合いそうな男子高生の制服を調べてました。
公式がブレザーだからか学ランのトキヤは想像がつかないのは私だけでしょうか・・・。
企画にご参加下さり有難う御座いました!
20121116