過去企画 | ナノ

!トキヤ≠HAYATO



今日は人気アイドルのトキヤと女優兼モデルとして有名な栞が電撃交際という事でそのインタビューを開く事になった。
勿論二人のそれぞれの双子の兄、一ノ瀬ハヤトと羽島幽平もとい本名平和島幽も一緒に、である。


この二組の双子をある程度知っている者は皆、こう思う筈だ。


「・・・・・・・・・今日は嵐だな」、と。



  ♂♀



「・・・あ、トキヤ君、ハヤト君」
「栞さん」
「あっおはやっほー栞ちゃん!大丈夫?気分悪くない?」
「お早う御座います・・・そうですね、緊張していますけど皆に認められるように頑張ります」
(・・・・・・・・・・・・全然!全く!緊張しているように見えないんだけど!)


栞の台詞にハヤトは内心引き攣らせるが其処は流石アイドルと言った所か。
ポーカーフェイスで内心を悟らせないようにしているが双子のトキヤには分かったのだろう、冷たい目を向けられたのが分かる。


「ところで栞さん、幽さんは何処に?」
「幽君なら・・・彼処」


すっと栞が指差す方向に一ノ瀬双子が視線を向けると普段と変わらない無表情ではあるものの、何処か落ち込んでいるような雰囲気を醸し出している。
言っては何だが、とても妹の交際を喜んでいる兄の姿とは思えない。


「・・・まだ諦めてないの幽君ってば」
「今日の朝までずっと行きたくないとぼやいていましたね」
「それは・・・」


分かってはいたが重症だ。
ハヤトは同じ兄として気持ちも分からなくは無いが、彼の場合愛情が行き過ぎている。
本気で妹離れをすべきだろう。


「幽君、もうそろそろ本番だよ」
「・・・栞、俺はやっぱり反対だ。
出来る事なら帰りたい」
「幽さん、それは」
「俺は君との交際を認めたくない。
大事な大事な妹がぽっと出の男に掻っ攫われるなんて・・・」


ずん、と先程よりも重々しくなった舞台裏。
しかしそんな重々しい空気を払拭するように、ハヤトは少し大きめの声をあげた。


「もー幽君はそろそろ本当に妹離れをするべきだよ!
うちのトキヤは絶対に栞ちゃんを不幸にしないよ約束する!」
「・・・余計なお世話だよ、しかも不幸にしないなんてのは当たり前。
もし栞が後悔するような事があったら俺は勿論兄貴も報復に行くから覚悟しなよ」
「静雄さんも!?
うわー分かっていたけど実際そう言われちゃ気を付けないといけないね!
ねトキヤ!」
「・・・・・・・・・そうですね、それはそうとして何故私が言うべき言葉を貴方が言うんですか」
「え!?」


慌てふためくハヤトにトキヤは深々と溜息を吐く。
この兄は本当に・・・・・・。


騒がしい自分の兄と対照的な彼女の兄。
でも根本的に何処かが似ている二人に、トキヤは複雑な思いに駆られながらも小さく笑う。


予想の出来ない未来だけど、幸せな未来であると良い。
トキヤはそっと心の中でそう思ったのだった。

  絡み合う想いの行方

お待たせしました、色無緋色様に捧げます!
完成してから気付きましたがTV出演していない・・・(汗
す、すみません!orz

20121011