過去企画 | ナノ

場所はとあるテレビ局の楽屋。
楽屋の一室に、シャイニング事務所のアイドル、寿嶺二、黒崎蘭丸、美風藍、カミュが宛がわれていた。

のだが。
現在は四人の内二人しか居なかった。



「ねぇアイアイ!
今日の収録番組のゲストがわざわざ挨拶に来てくれるらしいんだけど、その人って誰だか知ってるー?」
「・・・聞いてなかったの?」

嶺二はアイアイこと、美風藍に天真爛漫を具現化させたかの様な笑顔を浮かべて尋ねた。

「あははー・・・実は全く」
「・・・・・・・・・」

嶺二の回答に、藍は沈黙。
次いでやけに大きく溜息を吐いた。


「ボクも知らされていないんだ。
きっとあの人の策略なんだろうけど」
「ランランやミューちゃんも興味無いって言って出て行っちゃったし・・・。
まぁすぐに帰ってくるだろうし大丈夫だよね!」
「・・・・・・・・・・・・」


大丈夫・・・?
寧ろすっぽかしてしまいそうな気がするんだけど。

藍は内心でそう思いながらも、言葉にする事は無く、ふと一つの考えが頭に過ぎる。


・・・本当に誰なんだろ。
まぁ性格がぶっ飛んでいなけりゃ誰でも良いか・・・。



  ♂♀



コンコン


「!」
「あ、来たかな?」

数分後に、彼らの楽屋から控えめなノックの音が二人の耳に届いた。
パッと嶺二は嬉々とした表情を浮かべてドアの方へと向かい、ガチャリとドアを開ける。



誰か来たらしい。

藍は相手を見る事無く、手元にある本に目を再度落とす。


「はいはーい!・・・・・・って、え?」
「・・・・・・・・・こんばんは」
「・・・・・・・・・え、ええええええええーーー!!!!」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


相手は挨拶しただけなのに、何で絶叫。

藍は無表情を僅かに崩し、胡乱気に目を嶺二と嶺二の向こう側に居るであろう相手を見る。


相手は嶺二よりも背が低いのか、藍から見て相手の姿が見えない。

「・・・・・・・・・」

藍は溜息混じりに雑誌を閉じ、席を立つ。


「・・・レイジ、いきなり大声出さないでくれる。
一体誰が・・・」

藍は嶺二の前に居る姿に自身の薄氷色の双眸を向ける。
其の先には、やけに人形めいた美貌を此方に向けた一人の女性。

「・・・!」


肩より下までの、シャギーが入った艶やかな黒髪。
夜空を切り取ったかの様な漆黒の双眸。
プライベートが一切非公開とされる、同業者。



―――羽島幽が其処に、居た。



「・・・初めまして、羽島幽です。
今日の収録、宜しくお願いします」

ペコリ、と軽く礼をする羽島幽に、二人は思ってもいない大物ゲストに思わず沈黙した。

「え、え、ゲストっては、羽島さん?」
「はい」
「・・・嘘じゃなく?」
「本当ですが」

口元以外、一切動いていない彼女の顔を穴が開く程見つめて、嶺二は再び絶句する。
藍はそんな嶺二を見かねてか、話にならないと思ったのか、嶺二を後ろへと退かせて、会話を進めた。

「ふうん・・・僕は美風藍。
今日は宜しく」
「・・・此方こそ、宜しくお願いします」

互いが互い、人形めいた美貌と周囲に囁かれる其の顔(かんばせ)を交わした後、藍は何処か満足気な笑みを浮かべたのだった。



+おまけ+

「・・・そういえば、後二人足りないと思うのですが」
「嗚呼・・・其の二人なら今席を外してるよ」
「・・・そうですか」
「ちょっとレイジ、いつまで呆けてるつもり?
いい加減にしなよ」

「・・・・・・(ハッ!)」

  そうして運命の歯車は動き出す

20000hit企画第九弾はグミ様に捧げます!
先輩組なのに二人しか出ていないという事実・・・。
本当にスミマセン!(汗

そしてぶっちゃけます。
管理人、Debut未プレイなので、ドラマCDだけで何とか書きましたが、矛盾点があるかもしれませんので其の時は指摘して下さい・・・orz

リクエスト、有難う御座いました!
これからも『Elysion』を宜しくお願いします!

20120606


+おまけのおまけ+

「・・・おい、外まで響き渡ってたぞ」
「ふん、何があったのか知らんが見苦しいな」

「・・・・・・」

「ああ、やっと帰って来たんだ。
羽島さん、この二人がさっき言ってた残りの二人」
「・・・・・・初めまして」
「なっ女・・・!」
「・・・なんだ、この女は」

20120610(Diary/20120606より再録)