過去企画 | ナノ

!『花片』@if話
!幽視点



「・・・緊張するね」
「そうだね」
「でも幽君がいるから、心配ないね」
「俺も栞がいるから心配なんてしてないよ」


今日は記念すべき俺と栞の歌手デビューの日。
俺も栞も傍から見れば分からないだろうけれど、緊張していた。
俺達双子の表情を見分ける事が出来るのって今の所、兄さんだけだし。

・・・いつか栞の事を好きになって表情を見分けられるようになる人が現れるのかな。
・・・・・・・・・想像しただけなのに、気分が悪くなった。
何でだろ。さっきまで特に体調が悪かった訳でもないのに。

「・・・幽君、怒ってる?」
「・・・・・・これが怒りっていう感情なんだ」

そっか、この感覚が怒りなのか。
やっぱり栞や兄さんの傍にいると沢山の感情を学べる。
家族って良いな。やっぱりまだまだ兄さんもだけど、栞と一緒にいたい。
何処ぞの馬の骨とも分からない輩に大事な妹は渡せないよね。
栞は兄の贔屓目を差し引いても美人だし、優しいし、悪い所なんて見つける方が難しい。
・・・あ、でもあまり感情を表に出さない所が欠点といえば欠点かな。
否、俺や兄さんが分かれば後の人はどうでも良いか。


「幽君?」
「・・・何?」

栞の声に思考の海から意識を浮上させる。
首を傾げる栞は妹とか関係なく可愛い。もうこれは犯罪だよね。
・・・折原さんの所の双子の妹さんの気持ちが物凄くよく分かる。


「・・・・・・ううん、これから芸能界頑張ろうね」
「?うん。兄さんも応援するって言ってくれたしね」
「あ、テレビでは『幽平君』って言わないと・・・気を付けなきゃ」
「俺も本名で呼ばないようにしないとね。
栞の名前を知る人間をあまり増やしたくない」
「・・・・・・・・・ぇ、」

・・・つい本音が。
まぁ訂正しないけど。
・・・あ、ちょっと目を見開いてる。やっぱり可愛い。
・・・・・・そうだ。

「栞、これから忙しくなると思うけど、ずっと一緒だよ」
「・・・・・・うん。此方こそ宜しくね、幽君」

そう言った時の栞はちょっとだけだけど、確かに笑っていて。
スタッフから出演の時間だからと呼ばれるまで後3分。

  満たされる

20000hit企画第八弾は匿名希望様に捧げます!
リクエストに沿えているか甚だ疑問ですが(汗

個人的な解釈ですが幽君は心の機微に敏感でも、自身の感情の名前を知らなさそうです。
そして相変わらずのシスコン全開幽君。
果たして我が家の幽君を受け入れて頂けるのだろうか・・・((((゜Д゜;)))ガクガクブルブル
そして『花片』@をまだ一話しかupしていないという事に愕然としました。
申し訳無いですorz

リクエスト、有難う御座いました!
これからも『Elysion』を宜しくお願いします!

20120531