過去拍手 | ナノ

トキヤはとある本を興味本位で手に取り暇潰しも兼ねてあるページから読み始めた。
そのページはO型女性の基本的な性格についてだった。


 O型の女性は、純粋で夢や理想を求めるロマンチストなタイプ。
 思いやりのある性格で感性が豊かな為、感動したり感激しやすいです。
 積極的で、外見や形式にとらわれず、自分の感情に対して率直で一途に走ってしまいがちです。


「・・・・・・・・・」


合ってると言えば合ってる。
合っていないと言えば合っていない。


血液型別診断などトキヤは特に気にしない方だったがこの文章を見て思わず首を傾げた。
果たして彼女はロマンチストなのだろうか。
否その前に・・・・・・感激しやすいタイプ・・・・・・?

(・・・・・・想像出来ない・・・・・・)

撮影中は喜怒哀楽が激しい事もあるがそれはあくまで演技しているからであって本来の彼女は真逆である。

トキヤがずっと同じページを眺めていた事に気付いた音也がひょっこりとトキヤの背後から覗きこむ。
その所為でトキヤの視界が影に覆われた。

「トキヤずっと同じページを見てるけど、どうかしたの?」
「っ音也・・・!」

いきなり背後から声をかけられた事により一瞬トキヤの声が裏返るが音也は一切気にせずいつも通りに話しかけた。

「って血液型の本?珍しいねトキヤがこういう本を読むのって」
「・・・いけませんか?私だって偶にはこういう本位読みますよ」
「駄目だなんて言ってないって!
えーと何々?O型の女性について・・・あれトキヤってA型じゃなかったっけ?」
「・・・聞くのは其処ですか」


普通其処は性別ではないだろうか。
トキヤは喉まで出掛かった言葉を飲み込んだ。
この男に常識は悉く通用しないのはこの寮生活で嫌と言う程学んできた結果である。

同じやり取りを何度も繰り返してきたトキヤは改めて同室相手を変えて欲しいと思った。


「え?だってトキヤA型でしょ?
前に言ってたの俺ちゃんと覚えてるよ!」
「いえですから・・・もう良いです」
「?でも何でO型・・・あ、もしかして羽島幽さん?」
「・・・・・・」
「へー彼女、O型なんだ!
どっちかと言うとトキヤと同じA型っぽいなーって思ってたんだけど意外だなー・・・あれでも彼女は天才肌だしAB型かな?」
「・・・音也、少し黙りなさい」
「何で!?」
「貴方は少し喋りすぎなんですそれ位察して下さい。
それにこのやりとり一体何回目だと思っているんですか!」


ぎゃあぎゃあと騒ぐ音也に堪忍袋の緒が切れたトキヤが鉄槌を下すまで後一分。

201211XX