過去拍手 | ナノ

!トキヤBD一日限定拍手後日談



「やあイッチー、先日の誕生日は楽しめたかな?」
「・・・・・・・・・何の事ですか?」
「おいおい誤魔化したって無駄さ、ちゃんと顔に書いてあるぜ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「そんな顔をしても説得力なんて無いよイッチー。
幸せそうな顔をしてるし、見る人が見れば一発さ」
「・・・・・・ハァ」

相変わらず洞察力が鋭いレンにトキヤは深く溜息を吐く。
そもそも自分と彼女の関係は極秘である。
なのでトキヤも彼女も細心の注意を払っていたというのに、レンにだけは簡単にそれを見破られた。
・・・否、まだ相手は特定出来ていないらしいので、引き続き気を引き締めなければいけないのだが、相手が相手なだけにそれも時間の問題の様な気がする。

「例えそうだとしても貴方には関係ありません」
「冷たいねぇ」
「貴方に優しくした記憶はありませんが」
「百歩譲ってオレは良いとしよう。
だけどレディにまでそんな態度をとってたら愛想を尽かされちゃうぜ?」
「・・・・・・・・・・・・」

トキヤはふと誕生日に会った彼女のある台詞を思い出す。
男が言うべき言葉を逆に彼女に言われてしまったので、男として少々・・・否、かなり苦い思いをするのだが今は置いておく。

あんな台詞を言ってのけたのだから、自分の態度について彼女が思い悩んでいるというのはなさそうなので大丈夫だろう、と思いたいのだが如何せん相手はポーカーフェイスが十八番の彼女である。
否、彼女は十八番にしているつもりはないんだろうけども。

実は自分が気付いていないだけでもしかして、とトキヤは自身の考えにずぶずぶと深みにはまりかける。
しかしレンはそんなトキヤの葛藤を見抜いたかのように、トキヤの心を更に揺さぶりをかけた。

「イッチーが居ない所で実は思い悩んでました、って言われたら・・・どうするんだいイッチー?」
「・・・っ」

ビクリ、と震える肩。
見るからに動揺した事が分かる、その反応にレンは人知れず笑みを浮かべ、最後に爆弾発言を投下した。


「ま、相手があの羽島幽なんだし見抜くのは至難の業だ。
それともイッチーの前ではテレビとは違うのかい?」



・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「その様子じゃ、イッチーはオレが相手のレディを知らないと思ってたって感じかな?」



たっぷりと時間をかけて出た声は言葉になっていなかった。


そして、悪戯が成功したと言わんばかりのレンの様子に暫しトキヤは茫然自失のオブジェと化したのだった。

201209XX