花片ファンタジア | ナノ

二度目の生を受けて早17年。
こんにちは、またはこんばんは。平和島栞です。

二度目の人生は決して平々凡々と言えない日常を送っている私ですが何とか生きてます。

私の日常は元々非日常だったが更に非日常へと激化してしまった。

何故かと言うときっかけは些細な物だった。
シズ兄さんの理不尽なまでの暴力に巻き込まれた人に声を掛けたのが運の尽き。

その男の人は芸能関係者だったらしくスカウトをされ、散々悩んだ末に何回かモデルをしていたのだが、其処でまた大きく私の日常は歪んでしまった。


原因はひとえにあの胡散臭いおじさんの所為だ。


「Youには言葉に出来ない何かを持ってイマース!
ということでYou、早乙女学園に入学シチャイナヨ!!」
「・・・え」


初対面にも関わらずいきなり告げられた言葉に私は絶句した。
・・・あれ何処かで見たことがある顔だなー。
そうそうあの乙女ゲームのキャラクターにそっくりだ。

なんだそっくりさんか。しかしよく似ている。

今思えば油断していたのが悪かったのだろう。
否、油断していようがしてなかろうがこの人の前では水泡に帰す。
それ位勝ち目が無い人だった。



「ではでは行きマショウカ☆」
「・・・・・・・・・・・・ぇ」

ガシッと掴まれた腰に現実逃避をしていた栞の身体は浮き、男はHAHAHA!!と笑いながら、あろうことか窓から飛び出した。


「―――ッ!?」

声にならない栞の心の悲鳴は誰にも届く筈は無く。


きあぁぁぁぁ!!



  ♂♀



その後。
男―――シャイニング早乙女のごり押しにより栞の人生は大きく変わってしまったといえる。
男の目的地(栞からすれば魔王の根城以外の何物でもなかった)にいたスーツ姿の男からは十割の同情の目が向けられたことは記憶に新しい。

(あんな目を向ける位なら助けて欲しかった・・・)



栞は内心自暴自棄のような感情を浮かべて、手元にある一枚の用紙を穴が開く程凝視していた。

内容は早乙女学園合格通知書。
逃亡は認めないらしく、もし来なかった場合あの誘拐犯・・・もといシャイニング早乙女自ら迎えに来るらしい。
只管嫌だ。


故に。
栞には選択肢は最初から存在しない為、誰もいない自室で一人、深々と溜息を吐いた後、荷造りを開始した。

  波乱万丈学園生活の幕開け


ということでif話第2弾、主人公が早乙女学園生徒だったら編。
こっちの方が混合ネタがより書けそうだな、と思ったのは気のせいではない、筈。

20120329