花片ファンタジア | ナノ

目の前でいきなり人が降ってくるという異常事態。
誰もが惨劇を予想する中、煙を払い現れたのはこの学園の責任者だった。


「皆さん。入学オメデトね。
ミーがこの学園の学園長。シャイニーーーングッ早乙女イェイ!」


『・・・・・・・・・・・・・・・』


シャイニング早乙女と名乗った男は何事も無かったかの様に壇上で挨拶を始める。
その姿に誰もが沈黙と絶句をしたのは言うまでも無く。



  ♂♀



・・・・・・終わった。
やっと入学式(らしきモノ)が終わった。
何というか色々と濃かった気がする・・・。
私、あの人の元で一年もやっていけるのか不安で仕方が無いんだけど。
可笑しい、入学式って普通不安になるようなものだったっけ?


栞は入学式が終わると同時に他の生徒と同様、教室へと移動し元の席に着席したのだが。
一つ、重大な事を忘れていた事に栞は気付いた。


「あれっ平和島、入学式は何処に居たの?」
「・・・・・・・・・・・・」

・・・忘れてたーっ!
席って言っても私、一十木君の隣だったんだっけ!
私の平穏は一体何処に・・・!?

「平和島?おーい聞いてる?」
「・・・聞いてる」

内心慌てふためいている栞に気付かない音也は首を傾げつつも口を開いたその瞬間。
ガラリ、と教室の扉が開いたと同時に明るい声がクラスに居た生徒の耳に届いた。

「おはやっぷー!みんなちゃんと居るかしら?」

『・・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・あら?」

桃色の長い髪を靡かせ、ぐるりと教室を見渡した一見女性と思わしき人物はあまりの反応の無さに疑問符を飛ばす。
が、しかし。

「月宮林檎!?」
「えっ本物!?」

わっと先程の静寂を取り戻すかの様に生徒の声が大きく教室に響いた。

「うふっ其の様子じゃアタシの事を説明する必要は無いわねっ!
今日から一年、このAクラスの担任をする事になった月宮林檎です!
みんな、宜しくね!」

この台詞にて更にAクラスの悲鳴にも似た喝采が飛び交う。

栞はその中で唯一無言無音無表情を貫いていたが内心は全然無言ではなかった。


あーそっか確かこの人が担任だったなぁ。
この人の事も忘れていたなんてもうすっかり『原作』を忘れてるような気がする。
何というかごめんなさいと言うべき?
というより、この人まで黒髪じゃなくてピンク色の髪?え、皆日本人だよね?
此れだけカラフルな色が揃っていると寧ろ私が可笑しいような気がするのは気の所為かな・・・!?


・・・・・・・・・。

・・・アレ話がズレてる?


「じゃあ、とりあえず皆に自己紹介して貰おうかしら!
最初にして貰うのは―――其処の貴女!」


・・・・・・あ、考え事してた所為で何も聞いてなかった。
スミマセン先生、もう一回言って下さい。


栞は目の前で繰り広げられている出来事に内心フリーズしたのだった。

  自己紹介までの閑話


回を重ねる毎に短くなっているような気がするのは気の所為だろうか(汗
何はともあれ、次は自己紹介です。

20120705