企画 | ナノ

!本編終了後
!『恋々』要素有



「トキヤ君は何処まで池袋の事を知っているの?」

淡々とそう問うたのは黒髪の美女。
一方問われた側の青年は僅かに困惑の色を示した。

「すみません質問の意図が分からないのですが」
「ああ・・・ごめんね、よく話題が突然過ぎるって言われるんだけど忘れてた。
要は池袋には絶対に敵に回してはいけないと呼ばれる人達がいるんだ」

その中で最上位にいるのが自身の兄なのだがそれは伏せておく。

「複数いるんだけど一番気を付けて欲しいのは・・・」


表情そのものがごっそり抜け落ちたような無表情で抑揚無く語られたのは一人の黒髪の青年の事だった。



そして現在。
一ノ瀬トキヤは彼女、平和島名前の忠告も虚しくその"一番気を付けて欲しい"人物と接触してしまった。


「やあ君が一ノ瀬トキヤ君だよね?」
「(すみません名前さん、忠告して頂いたのに)・・・貴方は誰ですか?」

トキヤは敢えて彼の質問に答えない。
代わりに質問を投げ返すがお互いがお互い、双方の質問の答えを持っていた。

短い黒髪、柘榴色の瞳。眉目秀麗な容姿。
黒いファーコートを身に纏った、凄腕の情報屋。折原臨也。


「くっ、あはは!
その答え、君の中ではもう出ているんだろう?面白い事を言うよね」
「・・・・・・でしたら聞かないで下さい、折原臨也さん」
「まあ良いじゃない、一応ハジメマシテっていう間柄なんだし。
俺の事を知ってるのは平和島名前ちゃんかな」

歪んだ笑み。
その笑みにぞくり、と背筋に冷や汗が流れる。

「名前ちゃんの俺に対する印象は多分最悪だろうね。
何せ実の兄貴と犬猿の仲だから」
「折原さんはどうなんですか」
「俺?」
「折原さんが彼女に対する印象です」

そんな質問をされるとは思わなかったらしい、柘榴色の瞳が僅かに瞠るのが分かった。
次いで微笑を浮かべた。
何を考えているのか分からない、歪んだ笑みを。

「―――そうだね。
唯一俺が毛嫌いするシズちゃんの妹、名前ちゃんをどう遊んでシズちゃんを傷付けようか考えた事はそれこそ山のようにあるよ」
「っ!」
「だけどあの子に関しては諸事情があってね、あまり手出ししない事にした」
「・・・は?」

臨也の脳裏には世に放つにはあまりにも危険過ぎる、且つ兄としては頭痛の種でしかない双子の妹の事を考えた。
すぐ下の妹はそんな事無いのに。
むしろ末の妹があんな感じなのでその分、すぐ下の妹にはとてつもなく可愛気があってずっと構いたくなる。

・・・ではない。


あの双子が今までかつて無い程低い声で「羽島さんに手を出したらイザ兄でも許さないからね」と言われてしまったからだ。
普段ならそんな脅しにもならないがあの双子は別だ。
兄妹喧嘩したら間違いなく殺られるのは目に見えている。
ちなみにすぐ下の妹も彼女のファンなので余計に立場が悪くなるのも予想が出来たので余計に何か虚しさを感じたのだがそれは記憶から抹消させる事にした。


「だから、俺が名前ちゃんに何かをする事はあまり無いと思うよ」
「・・・・・・」


間接的には、あるかもしれないけどね。

そう言外に含ませた言葉に彼は気付いただろうか。
・・・まあ気付かなくても別に良いけどね。


臨也の笑みが深くなる。
すると時間が経過するにつれて何処からか臨也を呼ぶ声が近付いてくる事に気付いた。
この声はあの化物だ。

・・・全く良いところで邪魔してくれるなんて、ホント獣みたいだ。

内心舌打ちしつつ臨也は目の前にいるトキヤに軽く手を振る。




「じゃあね一ノ瀬トキヤ君、また縁があったらね」
「二度と会いたくありません」
「つれないなあ」


あの無表情が常の名前ちゃんが演技じゃなく、感情を剥き出しになるところを見てみたいんだけどまず最初にシズちゃんをどうにかするべきだろうなあと思いながらその場を後にした。

  黒幕志向の思惑

繭様リクエスト内容を変更して頂いてすみません(汗
リクエストして頂いて有難う御座いました!

20140929